道産木材データベース


ミズナラ


ミズナラ黄葉期


名称  和名:ミズナラ
    別名:オオナラ
    漢字表記:水楢
    アイヌ語名:ペロニ(pero-ni,ペロ(ドングリ)のなる木)
    英名:Japanese oak
学名  Quercus mongolica var. grosseserrata Rehder et Wilson
    (北村・村田(保育社1979)による)
分類  ブナ科コナラ属
分布  北海道,本州,四国,九州,南カラフト,南千島,朝鮮,中国東北部


生態・形態
 ミズナラは,東アジアの温帯林を代表する樹種の一つ。適潤~弱湿性の土壌を好み,緩斜面の中・下部で成長が良い。火山れき地や蛇紋岩地帯にも耐える。萌芽性が強い。北海道は日本の代表的な産地で,ほぼ全域に分布し,低地から亜寒帯性針葉樹が優占する山岳地まで広範囲に生育する。

 高さ25m,直径1.5mになる。樹皮は厚く,淡灰褐色から暗褐色で,縦にやや深い不規則な割れ目がある。枝は開出する。小枝のうち表面は滑らかでやや光沢がある。葉は,基部から3分の2ほどの位置が幅広の長楕円形で,縁に先がとがるか少し丸まった大きめの鋸歯をもつ(変種名 grosseserrata は「大鋸歯をもつ」の意)。葉の基部はくさび形に狭くなり,ごく短い柄がつく。堅果(ドングリ)は楕円形で径1.2~1.5cm,長さ2~3cm。殻斗(ドングリのぼうし)はお椀形でりん片が屋根瓦をふいたように密にならぶ。

ドングリは大小野生動物の重要な食料となる。ミズナラの更新や分布域の拡大はネズミ類・リス類・カケスなど小動物の分散貯蔵によるところが大きい。

北海道のナラ類
 北海道には,ドングリをつけるコナラ属のうち冬に落葉するいわゆるナラ類が4種類自生する(分類や分布に関しては,さまざまな説がある)。分布の主体となる「ミズナラ」,北部の海岸地帯に分布する「モンゴリナラ」,モンゴリナラ地帯を除きほぼ全道域に広がる「カシワ」,胆振・日高地方を中心に分布する「コナラ」である。

 北海道のナラ類の天然林は,単一種で構成される林分(海岸線でよく見られるカシワ純林が典型的)のほか,それぞれの種の分布域が接近あるいは重複している地域の多くでは,自然交雑により,複数の種や世代の異なる雑種が入り混じった林分構成になっていると考えられている。雑種は,樹皮,葉,殻斗などの形態が中間タイプとなって現れる。
 北海道におけるナラ類の蓄積は,広葉樹ではカンバ類に次いで多く,広葉樹の約15%,総蓄積の7%強の5千万m3とされる。

樹皮,葉,ドングリ


木材の性質
 ミズナラの心材は淡褐色,辺材は淡黄色。産地や生育条件などにより濃淡に微妙な差がある。心材・辺材の区別はしやすい。年輪界に大きな道管が並んでいる(環孔材)ので年輪がはっきりしている。幅広い放射組織が作り出す材面の模様が特徴的で,柾目面にはっきり現れる帯状の模様「虎斑(とらふ)」は家具の大きな魅力となる。
 材質は,重硬で強度が大きいが,主に年輪幅により大きく変動し,成長が良いと木材の比重がより高く硬くなる。これらの材質の変異は,成長の良し悪しに加え,材質がミズナラよりも重硬なモンゴリナラ・カシワ・コナラとの自然交雑が影響しているとされる。
 属名 Quercus は「良材」の意とされる。ミズナラの名は材が水分を多く含むことから。

3材面

性質一覧

場長室

 木材の性質それぞれの意味については,「トドマツ」の項で説明しています。
主な用途
 木目が好まれ洋風家具材として重用される。フローリング・壁板などの建築材(近年は合板仕様が多い),ドア・窓枠などの造作材,器具材,お盆などの生活用具材,インテリア材,洋酒樽材,木炭材,シイタケほだ木など用途は広い。北海道産のミズナラ材は,世界のナラ類の中では加工がしやすく見映えもするとされ,過去,欧米へインチ材として盛んに輸出された。世界的な銘木の一つ。

引用(木材の性質に関する数値等)

・日本の木材:(社)日本木材加工技術協会 1989

参考

・原色日本植物図鑑 木本編【II】:北村四郎・村田源 保育社 1979
・図説樹木学-落葉広葉樹編-:矢頭献一・岩田利治 朝倉書店 1966
・北海道におけるミズナラの分布,資源,生態,造林および保護技術 北海道立林業試験場 1998
・外材と道産材-材質による比較(広葉樹・環孔材):佐藤真由美 北海道立林産試験場 林産試だより 1992年4月号
 http://www.fpri.hro.or.jp/rsdayo/26153014001.pdf
・(財)日本木材総合情報センター:http://www.jawic.or.jp
・平成18年度北海道林業統計:北海道水産林務部 2008
・知里真志保著作集 別巻? 分類アイヌ語辞典 植物編・動物編:知里真志保 平凡社 1976

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