道産木材データベース


ハリギリ


名称  和名:ハリギリ
    別名:センノキ,セン(木材として流通時は別名が一般的)
    アイヌ語名:アユシニay-us-ni(トゲの多くある木)
    漢字表記:針桐,栓の木
    英名:Caster aralia,Sen
学名  Kalopanax pictus Nakai
分類  ウコギ科ハリギリ属
分布  日本,南千島,サハリン,中国,朝鮮半島

生態・形態
 平地~山地中腹,段丘上などの肥沃な土地を好む落葉性の高木。ミズナラ,イタヤカエデ,シナノキ等の天然林やトドマツ人工林内等に点在し,純林や優占種となることはほとんど無い。ハリギリの名は,若い幹や枝にトゲが多く,白い材色がキリに似ることから。
 高さ25m,直径1mを超えるものもある。寿命が長く,太い枝を持つ壮大な樹形となる。樹皮は厚くて荒く,灰褐色~暗黒褐色で縦に深く割れる。硬く鋭いトゲは成長につれ目立たなくなり,大径木の幹には小さな突起状に残る程度。一年生枝はとても太い。
 葉は大型で長さ,幅ともに30cm近くになり,長い葉柄を持つ。葉身は5~7片の掌状に深く裂けて先端は鋭くとがり細かい鋸歯を持つ。5月下旬頃,大きな頂芽から10枚以上が一斉に開葉する。葉は枝の先端部に多く,下位の短枝上には1~5枚程度の葉がつく。
 両生花は8月頃開花する。花弁は淡緑色で小さいが,複数の散形花序が大きな穂状に咲くのでよく目立つ。果実は直径5mm程度で10月頃黒く熟し,球状にまとまってつく。
 天然の良材はトドマツ林内に多いとされる。成長初期の耐陰性が強く,動物散布のためうっ閉した人工林内でも稚樹がよく見られるが,幼齢期を過ぎると日射への要求が増すため生存するものは少ない。母樹の樹冠下では枯死率が高くほとんど更新が見られない(アレロパシー)。新芽は食用となるが,同じウコギ科のタラノキ(タランボ)と比べてアクが強く食味は劣る。

樹皮、一年生枝上の冬芽とトゲ、葉、花


木材の性質
 代表的な環孔材のひとつ。心材は淡灰褐色,辺材は淡黄白色で心材と辺材の境界は比較的明瞭。肌目はやや荒いが木理は通直で均質。柔らかく加工性に優れる。強度・耐久性はそれほど高くない。年輪幅の狭い材は軽軟で「ヌカセン」(逆は「オニセン」)と呼ばれ強度が劣るが,より加工性に優れ狂いにくいことから,化粧合板,指物,箱物などに適する。

三断面

各種性質
 木材の性質それぞれの意味については,「トドマツ)の項で説明しています。

主な用途
 木肌の白さ,木目の美しさ,材面の光沢などからツキ板(内装用合板),羽目板(無垢材)として特に好まれる。その他にも建築用材,家具材,器具材,装飾用材,彫刻用材など用途は広い。膳,盆,箱物等でケヤキの代用とされることも多い。
 資源が豊富であったため,かつて下駄材として多用されたほか,良質な大径材は特に高級材料として建築用材,銘板,太鼓の胴などに用いられた。小樽市祝津の「鰊漁場建築(にしん御殿)」の大梁にはハリギリが使用されている。アイヌは丸木船(チプ)の材料として用いた。

林産試験場のハリギリを使用した研究成果品

林産試験場講堂の内装材羽目板


引用(木材の性質に関する数値等)

・日本の木材:(社)日本木材加工技術協会 1989

参考

・原色日本植物図鑑 木本編【II】:北村四郎・村田源 保育社 1979
・北海道の樹木:鮫島淳一郎 北海道新聞社 1986
・北海道の広葉樹林:菊沢喜八郎 (社)北海道造林振興協会 1983
・外材と道産材-材質による比較(広葉樹・環孔材):佐藤真由美 北海道立林産試験場 林産試だより 1992年4月号
・知里真志保著作集 別巻I 分類アイヌ語辞典 植物編・動物編:知里真志保 平凡社 1976

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