摘 録
1.空育125号の特性概要
系統名 空育125号 組合せ 空育109号×キタヒカリ
特性 長所
 1.良質.良食味である 3.いもち病耐病性が強い
 2.障害型耐冷性が強い 4.登熟性がよい
短所
 1.耐倒伏性が劣る
 2.収量が「ともゆたか」よりやや少ない。
採用県および
普及見込面積
北海道   22,000ha
系統・品種名/
形質
空育125号 対象
ともゆたか
対象
ともひかり
比較
ゆきひかり
成苗標肥
(1984,1986)
中苗標肥
(1984,1985)
成苗標肥
(1984,1986)
中苗標肥
(1984,1985)
成苗標肥
(1984,1986)
中苗標肥
(1984,1985)
成苗標肥
(1984,1986)
中苗標肥
(1984,1985)
出穂期の早晩性 中早 中早 早晩 中早
成熟期の早晩性 早晩 中早 早晩 中早
草型 偏穂数型 穂数型 偏穂数型 偏穂数型
出穂期 8月4日 7月30日 8月3日 7月31日 8月2日 7月30日 8月5日 8月1日
成熟期 9月16日 9月10日 9月18日 9月14日 9月17日 9月11日 9月20日 9月15日
登熟日数 43日 42日 46日 45日 46日 43日 46日 45日
稈長 67cm 64cm 62cm 62cm 61cm 60cm 67cm 63cm
穂長 16.7cm 16.7cm 17.4cm 17.1cm 18.0cm 18.3cm 18.3cm 17.8cm
穂数 456本/㎡ 608本/㎡ 602本/㎡ 625本/㎡ 462本/㎡ 558本/㎡ 476本/㎡ 578本/㎡
芒性 稀短 稀短 中短
ふ先色 黄褐 黄白 黄白 黄白
脱粒性
耐倒伏性 中〜や強 や強 や強
耐冷性(障害) や強〜強 や強 や強
葉いもち病耐病性 や強〜強
穂いもち病耐病性 や強〜強 中〜や強 中〜や強 中〜や強
玄米重(a当) 53.2kg 49.7kg 56.9kg 49.6kg 50.6kg 48.5kg 53.4kg 46.2kg
(%) 93 100 (100) (100) 89 98 94 93
玄米千粒重 21.4g 21.1g 22.5g 22.6g 21.2g 21.0g 21.0g 20.4g
玄米品質 上下上 上下上 上下上 上下上 上下上 上下上 上中下 上下上
玄米等級 1中 1中 2中 2下 1下 1中 1下 1下
食味 上中 中上 上下 上中
アミロース含量 19.8% 18.5% 21.9% 20.9% 19..3% 18.4% 20.0% 18.5%
アミログラム.MV 575B.U. 563B.U. 504B.U. 495B.U. 559B.U. 514B.U. 552B.U. 545B.U.
蛋白含量 8.2 8.1 7.8 8.0 8.6 8.9 7.6 7.7
調査場所 北海道立中央農業試験場稲作部(岩見沢市)
調査年次 1984〜1986年。
品種名候補  

2.空育125号の主要な特性
  中生、良質、良食味、耐冷性、いもち病耐性である。出穂期は「ともひかり」よりも1〜2日遅く、「ともゆたか」並で、成熟期は「ともゆたか」より2〜3日早く、「ともひかり」並である。玄米品質は良く、「ともひかり」並で、食味はこれを上回り、ほぽ「ゆきひかり」並である。障害型耐冷性はやや強〜強、耐倒伏性は中〜やや強で「ゆきひかり」よりはわずかに優る。登熟性は良い。いもち病耐病性はやや強〜強である。

3.本系統を奨励品種として採用する理由
  現在、北海道産米に対し玄米品質および食味の向上が強く要望されている。「空育125号」の成熟期は「ゆきひかり」より早く、かつ登熟性も優るので、「ゆきひかり」では栽培困難な地帯でも作付けが可能である。「空育125号」の収量性は「ともゆたか」よりやや劣り、「ともひかり」並であるが、玄米品質がよく、食味は「ともひかり」より優り、「ゆきひかり」並である。従って、「空育125号」を「ともひかり」の全部および「ともひかり」の一部に置き換えて栽培し、本道産米の玄米品質および食味向上をはかる。
1)栽培適地:空知、石狩、胆振、日高、後志、上川(士別以南)、留萌中南部と、渡島および檜山の北部。
2)これらの地帯には「ともゆたか」1.6万haと「ともひかり」2.6万haの栽培がある。


栽培適地(斜線部分)の現地試験対「ともひかり」、対「ともゆたか」( )内収量比(%)、
1985年、1986。標肥の2カ年平均。