摘 録
1.上育393号の特性概要
系統名 上育393号 組合わせ キタヒカリ/永系7659*
特性 長所
 1.良質、良食味
 2.障害型耐冷性が強い
短所
 1.耐倒伏性がやや劣る
 2.登熟性がやや劣る
採用県および
普及見込面積
 北海道  3,500ha
系統名/
形質
上育
393号
対象
はやこがね
対象
キタアケ
比較
ともひかり
標肥区 多肥区 標肥区 多肥区 標肥区 多肥区 標肥区 多肥区
出穂期の早晩性 早生の中 早生の早 早生の中 早生の晩
成熟期の早晩性 早生の中 早生の早 早生の中 早生の晩
草型 偏穂数型 穂数型 穂数型 偏穂数型
出穂期(月・日) 7.28 7.28 7.27 7.27 7.29 7.28 7.30 7.31
成熟期(月・日) 9.8 9.11 9.3 9.7 9.5 9.9 9.12 9.15
登熟日数(日) 42 45 38 42 38 43 44 46
稈長(cm) 67 73 59 63 60 65 65 72
穂長(cm) 17.1 17.4 14.2 14.6 15.0 14.5 17.9 18.1
穂数(本/㎡) 621 800 785 910 735 842 672 715
芒性 稀短 稀短
ふ先色 黄白 黄白 黄白 黄白
脱粒性
耐倒伏性 中〜ヤ強 中〜ヤ強 ヤ強 ヤ強
障害型耐冷性 ヤ強〜強 ヤ強
穂いもち病耐病性 ヤ強 ヤ強 ヤ強 中〜ヤ強
a当玄米収量(kg) 54.6 60.7 52.0 55.5 54.9 59.6 58.3 61.8
収量標準対比(%) 105 109 100 100 106 107 112 111
玄米千粒重(g) 21.3 20.2 20.2 19.5 22.3 21.5 21.0 20.2
玄米品質 上中下 上中下 上下上 上下上 上下中 上下中 上下中 上下上
玄米等級 1中 1下 1中 1下 1下 1下 1中 1中
食味 上中 中下 上下下 上下
食味特性(1) 19.7(97) 18.3(90) 19.4(96) 19.5(96)
食味特性(2) 473B.U. 453B.U. 489B.U. 505B.U.
食味特性(3) 7.3 8.2 7.5 7.3
調査地 道立上川農業試験場(旭川市)
調査年次 昭和59〜61年の3ヶ年(中苗)
品種候補名  
注1)食味特性(1):アミロース含量(キタヒカリ対比)、(2):アミログラム最高粘度、(3)蛋白含量
 2)永系7659:道北糯18号(かむいもち/ささほなみ)/道北10号(ささほなみ/しおかり)

2.上育393号の特記すべき特徴
 早生、良質、良食味で障害型耐冷性が強い。

3.北海道で奨励品種として採用する理由
  現在、道東、道北地帯の水稲基幹品種は「キタアケ」「はやこがね」で、この2品種で粳作付面積の約64%を占める。一方、道央地帯でも早生種として「キタアケ」「はやこがね」が一部栽培されているが、ともに品質、食味の改善が強く望まれている。「上育393号」は早生種で「ゆきひかり」に近い良食味と良質性を兼備しており、道東、道北1およぴ道央早生種地帯の良質、良食味米生産に貢献する。

4.普及見込地帯
(1)栽培地帯:上川、網走、十勝、留萌、空知、石狩、後志、胆振、日高の支庁管内、および渡島、桧山北部
(2)対象品種:「はやこがね」「キタアケ」