【普及奨励事項】
摘  録
1.上育397号の特性概要
系統名 上育397号 組合せ 渡育214号*/道北36号*
特性 長所
1.良食味
2.初期生育が良く
穂数確保が容易
短所
1.耐倒伏性
2.登熟性
採用県および
普及見込面積
北海道25,000ha
   系統品種名
形質
上育
397号
対象
キタヒカリ
対象
ともひかり
比較
ゆきひかり
出穂期の早晩性 早生の晩 中生の中 早生の晩 中生の早
成熟期の早晩性 早生の晩 中生の早 早生の晩 中生の中
草型 穂数型 偏穂数型 偏穂数型 偏穂数型
出穂期(月・日) 8.4 8.4 8.7 8.10 8.2 8.4 8.4 8.7
成熟期(月・日) 9.19 9.22 9.2 9.23 9.19 9.22 9.23 9.25
登熟日数(日) 46 50 44 44 48 49 50 49
桿長(㎝) 61 64 64 69 62 69 62 72
穂長(㎝) 16 16.9 16.3 16.4 17.5 17.8 17.4 18
穂数(本/㎡) 722 844 611 728 664 710 630 719
芒性 稀・短 中・短
ふ先色 黄白 黄白 黄白 黄白
脱粒性
耐倒伏性 ヤ強−中 ヤ強 ヤ強
障害型耐冷性 ヤ強 ヤ強 ヤ強
葉いもち病耐病性 ヤ強
穂いもち病耐病性 ヤ強 ヤ弱
a当玄米重(㎏) 53.6 56.2 51.7 52.2 54.9 57.8 54.8 55.5
収量標準対比(%) 104 108 (100) (100) 106 111 106 106
玄米千粒重(g) 22.1 21.3 22.2 21.6 21.7 20.3 20.8 20.1
玄米等級 1中 1中 1下 1中 1中 1中 1中 1下
玄米品質 上中下 上中下 上下上 上下上
食味 上中上 上下 上下 上中
食味特性(1) 20.6%(6.9%) 21.8%(7.0%) 20.9%(7.4%) 20.8%(7.0%)
食味特性(2) 509B.U. 452B.U. 487B.U. 474B.U.
調査地 道立上川農業試験場(旭川市)
調査年次 昭和60〜62年の3ケ年(中苗、標肥、多肥)
品種候補名  
注1)食味特性(1):アミロース含量(蛋白含量)、(2):アミログラム最高粘度
 2)渡育214号:「しまひかり」、道北36号:「キタアケ」
 3)品種・系統の左欄:標肥、右欄:多肥区

2.上育397号の特記すぺき特徴
早生、良食味系統で耐倒伏性、登熟性が劣る。

3.北海道で奨励品種として採用する理由
 現在・良食味品種「ゆきひかり」の産米に対する評価は極めて良好であるが、今後「ゆきひかり」の過剰作付や栽培不適地帯での作付が憂慮される。一方「キタヒカリ」「ともひかり」「みちこがね」は、良食味品種「ゆきひかり」の登場によって相対的に食味が不評となっている。
 「上育397号」の出穂期は、「キタヒカリ」より2〜4日早いが、登熟がやや劣るため成熟期は「キタヒカリ」よりやや早いか、空知以南では「キタヒカリ」並となる場合がある。収量性は「ともひかり」より劣るが「キタヒカリ」より多収である。食味は「ゆきひかり」よりやや良い。従って、「上育397号」を「キタヒカリ」と「ともひかり」の1部にかえて栽培することによって本道産米の食味向上に役立つ。

4.普及見込地帯
(1)栽培地帯:石狩、空知、後志、胆振、日高、上川中南部、留萌中南部、桧山北部、渡島北部およびこれら地帯に準ずる地帯
(2)対象品種:「キタヒカリ」。「ともひかり」の1部