4.来歴
　「あずき十育122号」(以下「十育122号」と略す)は、大粒、良質、多収品種の育成を目標とし、昭和54年に北海道立十勝農業試験場において、「十育106号」を母、「十系207号」を父として、人工交配を行い、F1は冬期温室で養成し、以後、圃場で選抜固定をはかってきた系統である。
　昭和60年に「十系400号」の系統名で生産力検定予備試験に供試し、昭和61年以後「十育122号」の系統名で、生産力検定試験を行うとともに、岩手県立農業試験場のウイルス病特性検定試験、岡山県および道内外の関係機関で試験を実施した。また、昭和62年から奨励品種決定現地調査ならびに低温抵抗性、耐病性、多肥および密植適応性検定試験を行った。昭和63年には新設された岩手県の系統適応性検定試験にも供試した。昭和63年における世代はF10である。

5.特性
【形態的特性】
　小葉の形は下位葉、上位葉とも円葉で大きい。莢の形状は、長さが中、幅が広で「アカネダイナゴン」より長く幅はやや広い。一莢内粒数、胚珠数は少に属するが「アカネダイナゴン」より多い。毛茸の多少と形は少と鈍、花色は黄で「アカネダイナゴン」と同じである。
主茎長は、「アカネダイナゴン」より長く、主茎節数は中である。分枝数は中で「アカネダイナゴン」より少ない。
　子実の形は円筒であり、大きさは極大に属し、百粒重は「アカネダイナゴン」より30%以上重い。種皮の地色は濃赤に属するが「アカネダイナゴン」に比べてやや濃い。

【生態的特性】
　開花期は「アカネダイナゴン」よりやや遅く中の晩、成熟期は同じ中の晩である。
　子実収量は「アカネダイナゴン」と同じ中であるが同品種に比べやや多い。
　低温抵抗性は中である。落葉病抵抗性は「アカネダイナゴン」と同じ弱であるが、茎疫病抵抗性は中、ウイルス病抵抗性は強で、「アカネダイナゴン」より強い。
　倒伏抵抗性は弱である。
　種皮歩合は「アカネダイナゴン」と同じ低である。

6.試験成績

7.配布しうる種子量
　原原種　30kg、　原種　310kg、　その他　20kg

8.適地、奨励の態度および普及見込み面積
　道南および道央南部の大納言小豆(「アカネダイナゴン」その他)におきかえて普及する。　1,500ha。

9.栽培上の注意
　1)耐倒伏性が弱いので密植、多肥栽培は避ける。
　2)アズキ落葉病に対する抵抗性が弱いので適正な輪作を行う。