道北47号の概要
1.特性一覧表 北海道立上川農業試験場
系統名 | 道北47号 | 交配組合せ | 北育74号*/道北36号、キタアケ | |||||
特性 | 長所 1.早生の良食味である 2.登熟性がよい |
短所 1.乳白粒の発生がやや多い |
||||||
採用予定県 および 普及見込面積 |
北海道(道東、道北部)950ha | |||||||
調査地 | 北海道立上川農業試験場(旭川市) | 北海道立北見農業試験場(訓子府町) | ||||||
調査年次 | 昭和62〜平成元年(中苗標肥) | 昭和62〜平成元年(中苗標肥) | ||||||
系統名・品種 形質 |
道北 47号 |
対象 はや こがね |
対象 上育 393号 |
比較 キタアケ |
道北 47号 |
対象 はや こがね |
対象 上育 393号 |
比較 キタアケ |
出穂期の 早晩性 |
早生の早 | 早生の早 | 早生 | 早生 | 早生の早 | 早生の早 | 早生の早 | 早生の晩 |
成熟期の 早晩性 |
早生の早 | 早生 | 早生 | 早生 | 早生の早 | 早生 | 早生の晩 | 早生の晩 |
草型 | 穂数型 | 穂数型 | 偏穂数型 | 穂数型 | 穂数型 | 穂数型 | 偏穂数型 | 穂数型 |
出穂期(月、日) | 7.3 | 7.29 | 8.1 | 7.31 | 8.2 | 8.1 | 8.2 | 8.4 |
成熟期(月、日) | 9.13 | 9.16 | 9.17 | 9.16 | 9.18 | 9.20 | 9.23 | 9.23 |
登熟日数(日) | 45 | 48 | 47 | 47 | 47 | 49 | 52 | 50 |
稈長(㎝) | 56 | 56 | 65 | 57 | 58 | 58 | 63 | 59 |
穂長(㎝) | 14.6 | 14.1 | 17.3 | 15.0 | 15.0 | 14.2 | 16.7 | 14.7 |
穂数(本/㎡) | 713 | 734 | 582 | 624 | 702 | 755 | 615 | 634 |
芒の多少・長短 | 無 | 稀短 | 無 | 稀短 | 無 | 稀短 | 無 | 稀短 |
ふ先色 | 黄白 | 黄白 | 黄白 | 黄白 | 黄白 | 黄白 | 黄白 | 黄白 |
脱粒性 | 難 | 難 | 難 | 難 | 難 | 難 | 難 | 難 |
耐倒伏性 | やや強 | 中〜 や強 |
中〜 や強 |
やや強 | やや強 | 中〜 や強 |
中〜 や強 |
やや強 |
障害型耐冷性 | や強〜 強 |
や強〜 強 |
や強〜 強 |
強 | ||||
葉いもち 病耐病性 |
強 | やや強 | 中 | やや強 | ||||
穂いもち 病耐病性 |
強 | 強 | 中〜 や強 |
やや強 | ||||
玄米重(㎏/a) | 56.7 | 58.5 | 59.7 | 59.6 | 44.5 | 43.2 | 47.7 | 46.8 |
玄米重標準比 (%) |
97 | 100 | 102 | 102 | 103 | 100 | 110 | 108 |
玄米千粒重(g) | 22.1 | 20.9 | 22.4 | 23.3 | 20.6 | 19.5 | 21.0 | 21.8 |
玄米等級 | 2上 | 2上 | 1下 | 2 | 3上 | 2下 | 2下 | 3上 |
玄米品質 | 2.8 | 3.0 | 2.7 | 3.1 | 2.9 | 2.9 | 2.7 | 3.3 |
食味 | 上下上 | 中下 | 上中下 | 上下下 | 上中下 | 中下 | 上中下 | 上下下 |
アミロース 含量% |
21.3 | 20.9 | 22.2 | 21.6 | 21.2 | 20.5 | 21.6 | 20.6 |
蛋白合量% | 8.5 | 8.5 | 7.9 | 8.1 | 7.9 | 9.1 | 7.6 | 7.7 |
アミログラム 特性 |
382B.U. | 363B.U. | 398B.U. | 392B.U. | 429B.U. | 400B.U. | 440B.U. | 473B.U. |
品種候補名 |
2.「道北47号」の特記すべき特徴
早生で良食味であり、登熟性がよい。
3.奨励品種に採用する理由
北海道の東部および北部は気象条件が厳しいことから早生種の栽培が主体である。これら地帯では「はやこがね」が長年栽培され、近年は「キタアケ」が多かった。「はやこがね」と「キタアケ」は耐冷性が強く寒冷地の稲作安定に貢献してきた。しかし、「はやこがね」は食味が不良であるうえ玄米が小粒、円形であるため、消費流通関係から不評で、最近急速に栽培面積が減少した。「キタアケ」も普及当初に比べて、その後の良食味品種の開発により相対的に食味の評価が低下し、作付けが減少している。
昭和62年に奨励品種になった「上育393号」は品質、食味が良いことから「はやこがね」「キタアケ」に替わって作付けが増加し、これら地帯の粳の早生種は1、2年後には、「上育393号」が大半を占めるすうせいにある。「上育393号」は良質・良食味であるが、登熟が遅れやすいことが欠点で、遅延型冷害年の被害が心配される。また、これら地帯は冷害の頻度が高いことから、2、3品種を配合して安全を期することが望ましい。
「道北47号」は出穂期は「上育393号」よりわずかに早いだけであるが、登熟が良く、成熟期は早まる。食味は適応地帯では「上育393号」と同程度で早生種としては良食味である。「道北47号」を「はやこがね」に替えて栽培することにより早生種地帯の産米の食味向上を図り、また、「上育393号」の一部に替えて栽培することにより、これら地帯の安定化を図る。
4.普及見込み地帯
1)栽培地帯 北海道東部(網走管内全域)と北部(上川北部)およびこれらに準ずる地帯
2)対象品種 「はやこがね」の全部と「上育393号」の一部
3)普及見込み面積 950ha