1. 「十育D10号」の特記すべき特徴
  2. 従来の中長鶉類品種である無限伸育半蔓性の「福粒中長」に比べ有限伸育矮性で、草丈は「大正金時」よりやや高い。「福粒中長」に対し耐倒伏性も優る。成熟期は4日程度早く、粒大はやや大きく、収量性は優る。

    煮豆の食味試験では、粘りが強く、味、総合評価が好まれる傾向にある。

     

  3. 北海道で奨励品種に採用しようとする理由
  4. 北海道における中長鶉類の作付け面積は、500ha前後でほぼ安定している。その中で作付けされている品種のほとんどが昭和47年(1972)に育成された半蔓性の「福粒中長」である。

    半蔓性の「福粒中長」は7月中旬頃より蔓が出始め、8月上旬には畦内・間で蔓が絡まり合い、管理作業などに支障をきたす。また、生育中期以降では、草丈が約1m程度になり蔓が絡み合うため、倒伏しやすくなる。そのため雨害による腐敗粒、インゲン菌核病等病害の発生を助長する。収穫時期においてもビーンハーベスターを使った刈り倒し作業が行いにくいなど農作業上のデメリットが多い。

    「十育D10号」は「大正金時」と同じ矮性であることから、半蔓性の「福粒中長」に比べ倒伏が少なく管理・収穫作業がしやすい。成熟期は「福粒中長」よりも4日程度早く、多収で、粒大も大きい。煮豆の食味試験では、粘りが強く、味、総合評価が好まれる傾向にある。

    従って、「福粒中長」に置き換えて普及することにより、中長鶉類の品質向上と安定生産に寄与できるものと考えられる。

     

  5. 普及見込み地帯

  6. いんげんまめ作付け地帯(道産豆類地帯別栽培指針(平成6年)地帯Ⅰ(道東),Ⅱ(道央))

  7. 栽培上の注意

 1)大粒であるので、脱穀機の回転数を調節し損傷粒の発生を避ける。

 2)極端な多肥栽培では成熟期における葉落ちが不良になることがある。

 3)インゲン黄化病抵抗性は“やや弱”なので防除を徹底する。

 4)その他の病害防除は従来品種に準じて行い、播種時期および肥培管理は金時類品種に準じて行う。