新品種候補(2005年1月作成)
北海道農業>作物>12>1-2-084-1
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育種事業課題名:あずき新品種候補系統「十育147号」の概要
担当研究室:十勝農業試験場 作物研究部 小豆菜豆科
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キ-ワ-ド:アズキ、低温抵抗性、落葉病抵抗性、萎凋病抵抗性、倒伏抵抗性
1.特性一覧表
系統名:あずき「十育147号」 組合せ:十育137号/十育138号
特性 長所 1.開花期頃の低温抵抗性が“やや強”である。
2.落葉病、茎疫病(レース1)、萎凋病抵抗性が“強”である。
3.倒伏抵抗性が“強”である。
短所 1.開花前の低温により短茎化する場合がある。
採用県と普及見込み面積:北海道 3,000 ha
2.あずき「十育147号」の特記すべき特徴
「十育147号」は落葉病・茎疫病(レース1)・萎凋病に対して抵抗性である。成熟期は、「エリモショウズ」や「きたのおとめ」より早い“早の晩”である。開花期頃の低温に対する抵抗性は“やや強”で「エリモショウズ」より強い。倒伏抵抗性は「サホロショウズ」と同じ“強”で、「エリモショウズ」、「きたのおとめ」より強い。
3.北海道で優良品種に採用しようとする理由
早生種栽培地帯(小豆栽培地帯区分I-1、I-2)では、一部で早生品種の「サホロショウズ」が栽培されているが、大部分では、土壌病害の出ない畑では主に「エリモショウズ」、落葉病発生が懸念される畑では主に「きたのおとめ」が栽培されている。これは、「サホロショウズ」の収量性、耐冷性が中生品種の「エリモショウズ」や「きたのおとめ」に比べて劣り、土壌病害抵抗性もないためである。このように、本来早生品種を栽培すべき地帯で中生品種を栽培していることが、冷害年における小豆の成熟を一層遅らせ、被害を拡大していると考えられる。このため、特に、早生種栽培地帯がかなりの割合を占める十勝・網走地方で、早生の耐冷、良質、多収、耐病性品種が強く要望されていた。
「十育147号」の成熟期は、“早”である「サホロショウズ」よりは遅いが、“中の早”である「エリモショウズ」や「きたのおとめ」より早い“早の晩”である。「きたのおとめ」と同様に落葉病・萎凋病抵抗性を有し、さらに茎疫病には「寿小豆」と同様レース1に対して抵抗性である。また、開花前の低温により「サホロショウズ」と同様に短茎化するが、開花期の低温に対する抵抗性は強く、冷害条件下で他の品種が低収になるような場合でも減収程度は小さい。一方、温暖条件下では収量が中生品種である「きたのおとめ」「エリモショウズ」と遜色がなく、「サホロショウズ」の欠点が改善されている。また、加工適性も製アン及び和菓子業者から「きたのおとめ」「エリモショウズ」と同等以上の評価を得ている。
そこで、「十育147号」を主に道東の「サホロショウズ」、「きたのおとめ」、及び、「エリモショウズ」それぞれの一部に置き換えることにより、冷害年における減収程度を軽減することが可能で、北海道の小豆生産安定性向上に寄与することが期待される。
4.普及見込み地帯
北海道の道東の早生種栽培地帯(I-1)及び道東の早生・中生種栽培地帯(II-1)、及びこれに準ずる地帯(下図網掛け部)。
5.栽培上の注意
1)落葉病、茎疫病(レース1)、萎凋病に抵抗性を持つが、栽培に当たっては適正な輪作を守る。
2)茎疫病発生圃場では、優占するレースにより多発する場合がある。
3)短茎化した場合、機械収穫を行うと収穫損失が多くなる可能性がある。
4)早生であるが、夏期温暖な条件下では中生品種より成熟期が遅くなる場合がある。
図 「十育147号」の普及見込み地帯における「きたのおとめ」との子実重比と成熟期の差」
注)1.農試及び奨励品種決定調査等の成績による。( )内は「エリモショウズ」との比較。
2.地帯区分は「道産豆類地帯別栽培指針」(H6 北海道農政部)による。