成績概要書(作成 平成10年1月)
課題の分類 北海道 野菜 栽培 − たまねぎ 栽培一般 研究課題名:たまねぎ秋まき栽培の総合技術 タマネギ秋まき栽培の総合技術組立 タマネギ前進出荷の秋播栽培技術の確立 加工用タマネギ新品種育成におけるF1品種の親系統能力検定に関する試験試験 業務用途並びに秋まき栽培に適するタマネギ新品種育成試験 予算区分:道単、受託、 研究期間:平成元〜9年 担当科:花・野菜セ研究部 野菜第二科,土壌肥料科 中央農試病虫部 病理科,害虫科 北見農試研究部 園芸科 ホクレン農総研育種研究室 園芸作物科 |
2.方 法
1)播種期の設定と品種の秋まき栽培特性 花野菜セ 平3〜9年(平3〜7年は中央農試)、北見農試 平4〜9年、ホクレン 平元〜9年。
3.結果の概要 −秋まき栽培指標−
適用地域:当面は年内に積雪の見込める道央地域とする。
圃場の選定:下層の透水性がよく、融雪期に停滞水が発生しない圃場を選定する。
適応品種:秋まき用中晩生品種。
苗床播種期:移植栽培とする。播種期は8月中旬。播種が早すぎると生育が進み、抽台が多発する危険性が高まる。また、播種が遅れると生育量が確保されず越冬率が低下する。越冬前の生育量で葉鞘径6〜7㎜を目安とする。
定 植 期:9月下旬〜10月上旬、圃場条件の良いときに、やや深めの定植とする。
窒素施肥法:秋基肥として10aあたり5㎏、早春に分肥10㎏を施用する。
病害虫防除:春まき栽培で主要病害虫である白斑葉枯病とネギアザミウマは秋まき栽培では発生または被害が少なく、減農薬栽培が可能と考えられる。しかし、春まき栽培と異なる病害虫の発生する可能性があるので注意を要する。
根切り時期:倒伏揃期から7日後前後。遅れると裂皮、皮むけなど規格外球が増加する。
収穫時期:完全枯葉を待って収穫するが、根切り後も収穫が遅れると引き続き変形、裂皮など規格外球が増加する。根切り後、概ね2週間前後が適当と思われる。なお、早期出荷を目的とした手どり収穫では根切り後1週間、枯葉期前後での収穫も可能である。
表1 たまねぎ品種の秋まき栽培特性(中央農試・花野菜セ、H7〜9年の3か年平均値)
類別 | 品 種 名 | 越冬 率 (%) |
欠株 率 (%) |
抽台 率 (%) |
障害 株率 (%) |
倒伏期 (月/日) |
収穫期 | 収量(㎏/a | 平均 一球重 (g) |
規格 内率 (%) |
|
規格内 | 総 | ||||||||||
秋まき 用 |
ターボ もみじ3号 ラッキー |
90 94 95 |
14 12 10 |
0 0.1 0 |
4 3 10 |
7/ 4 7/12 7/17 |
7/27 8/ 2 8/12 |
489 502 498 |
550 600 630 |
206 220 231 |
89 84 79 |
春まき 用 |
改良オホーツク1号 そらち黄 |
95 85 |
12 25 |
15 35 |
5 5 |
7/18 7/28 |
8/12 8/19 |
397 232 |
453 248 |
201 192 |
88 93 |
表2 秋まきたまねぎ栽培圃場の実態(平成9年)
栽培圃場 | 土壌の種類 | 排水性等 | 越冬率 |
花野菜セ圃場 枠 中央農試高台 砂川市 富良野市I 富良野市M 富良野市U |
軽系石流堆積物客土/細粒灰色台地土 酸性褐色森林土 細粒灰色台地土 細粒褐色低地土 礫質灰色低地土 中粗粒褐色森林土 中粗粒褐色森林土 |
良〜不良 不良 表面にクラスト形 表面にクラスト形 表面にクラスト形 良 良 |
65〜90% 25% 45〜60% 80%* 60〜80% 90%* 90%* |
表3 秋まきたまねぎの葉枯れ症状からの病原菌の分離率(%、中央農試)
分離年月日 | 供試個体数 | 葉枯病菌 | 黄斑病菌 | 小菌核病菌 | 白斑葉枯病菌 |
平8/ 5/27 7/18 |
21 80 |
9.5 11.3 |
0 15.0 |
0 1.3 |
0 0 |
平9/ 5/28 6/12 7/14 |
45 27 36 |
0 0 0 |
3.7 3.7 13.0 |
2.2 3.7 6.3 |
4.4 7.4 8.3 |
表4 秋まきたまねぎにおける害虫の発生消長(中央農試)
被害害虫 | 単 位 | 平成8年 | 平成9年 | |||||||
6/10 | 6/19 | 6/23 | 7/ 1 | 7/10 | 7/16 | 6/ 9 | 6/18 | 6/30 | ||
ネギコガ ハモグリバエ類 ネギアザミウマ ヨトウガ |
被害茎率(%) 被害株率(%) 食害程度 被害株率(%) |
0.3 2 0 |
0 0 0 |
8 0 1 |
1.2 0 19 |
1.7 0 17 16.2 |
32.0 |
2.0 10 |
2.4 22.5 |
3.4 26 |
4.成果の活用面と留意点
1)越冬性の問題があるので、圃場選定には特に注意する。
2)窒素施肥量は暫定値であり、上限とする。なお、加里とりん酸の施肥量については、当
面、春まき栽培に準拠し、加里の施肥法としては窒素施肥法に準じて、秋と春に分肥する。
5.残された問題とその対応
本道向け耐抽台性秋まき用品種の育成