アルストロメリアの品種特性を明らかにし，適品種選定の資料とする。

２．方 法

１）試験実施場所：農試内温室（鉄骨ポリカーボネート樹脂波板張り）

２）試験年次および試験規模：平成６〜８年度 １品種６株，１反復

３）供試品種：６品種

４）栽培法

ａ．定植期：平成５年12月25日

ｂ．栽植密度：床幅90cm，２条植え，条間40cm，株間45cm，2.4株／㎡

ｃ．施肥量：Ｎ−Ｐ２Ｏ５−Ｋ２Ｏ 3.8−5.5−2.9kg/a，（平成6，7年）

平成8年は月2回程度液肥施用

ｄ．摘蕾：平成6年6月 3日〜 7月19日 計3回，翌年以降は実施せず

ｅ．遮光：黒寒冷シャ，50％ 期間 平成6年7月19日〜 9月 6日，7年6月18日〜 9月13日，8年は7〜9月の晴天時のみ

ｆ．加温条件：最低温度9℃に設定 期間 平成6年11月11日〜7年3月31日，7年11月 3日〜8月3月31日，8年11月 1日〜9月3月31日

ａ．月別採花傾向

３カ年通じて未採花期間の無い品種は「アモール」，「ウィルヘルミナ」，「ロジタ」であった。しかし「ウィルヘルミナ」，「ロジタ」は秋季に月当たり採花本数が１本以下となる時期があった。年次により通年採花となった品種は「ピンクトライアンフ」，「ティアラ」であった。「ラパーズ」は毎年11月前後に未採花期間があった。

採花のピークは平成６，７年度（採花１，２年目）はどの品種も５月であった。平成８年度（採花３年目）は４月とやや早まる傾向を示した。平成７年以降採花のピークが不明瞭となる品種は「ウィルヘルミナ」，「ティアラ」あった。「ラパーズ」も平成８年の採花のピークは明瞭ではなかった。

ｂ．年次別採花傾向

全ての品種が平成７年（採花２年目）に採花本数のピークがあったが，「アモール」，「ティアラ」，「ロジタ」は平成８年の落ち込みは僅かであった。採花初年より採花本数の多かったのは「ウィルヘルミナ」で少なかったのは「ティアラ」であった。

供試品種中最も採花本数の多かったのは「ラパーズ」で「ウィルヘルミナ」がそれに次いだ。最も収量の多い品種は最も少ない品種の収量の40％増であった。

　表２　品種特性

品種名	年間規格品収量			秋期収量　 9〜11月	四季咲き性	ブラインド 発生度	ブラスチン グ発生度	冬季花色　 褐色度
	１年目	２年目	３年目
	多中少 7 5 3	多中少 7 5 3	多中少 7 5 3	多中少 7 5 3	無弱強 0 3 7	無低高 0 3 7	無低高 0 3 7	無低高 0 3 7
アモール	4	5	5	4	4	3	3	3
ウィルヘルミナ	5	6	5	5	6	3	3	3
ティアラ	3	6	6	3	0	4	3	1
ピンクトライアンフ	4	5	5	3	3	5	3	3
ラパーズ	5	6	6	3	0	6	5	3
ロジタ	4	5	5	4	5	4	4	1
3	<20	<20	<20	<5	弱い	低い	低い	低い
4	<40	<40	<40	<10
5	<60	<60	<60	<15
6	<80	<80	<80	<20
7	100≦	100≦	100≦	20≦	強い	高い	高い	高い
単位	本／株	本／株	本／株	本／株

　*それぞれの採花年次における4月〜翌3月までを年間とした。

　表３　切花形質

品種名	切花長	切花重	節数	節間長	茎径	花梗数	花梗長	花蕾数	下垂度
	長中短 7 5 3	重中軽 7 5 3	多中少 7 5 3	長中短 7 5 3	太中細 7 5 3	多中少 7 5 3	長中短 7 5 3	多中少 7 5 3	硬中軟 7 5 3
アモール	6	6	7	4	4	5	7	5	6
ウィハルミナ	4	4	3	6	3	4	7	4	4
ティアラ	6	6	4	7	4	4	7	5	5
ピンクトライアンフ	6	5	4	6	4	4	7	6	5
ラパーズ	6	6	6	5	4	5	7	6	6
ロジタ	5	5	5	5	5	4	6	5	6
3	<70	<40	<20	<2	<6	<4	<6	<10	2.0≦
4	<100	<60	<30	<3	<8	<6	<9	<15	<2.0
5	<140	<80	<40	<4	<10	<8	<12	<20	<1.5
6	<180	<100	<50	<5	<12	<10	<15	<25	<1.0
7	180≦	100≦	50≦	5≦	12≦	10≦	15≦	25≦	<1.0
単位	ｃｍ	ｇ		ｃｍ	ｍｍ		ｃｍ	個

　*5月の切花品質を基準に評価した。一部の項目は平成2,5年度成績に準拠

４．成果の活用面と留意点

本試験は，冬季定植，加温周年栽培条件下で実施されていることを考慮する。