成績概要書 (作成 平成10年1月)
研究課題名:スターチス・シヌアータ(栄養系)の品種特Ⅱ
(主要花きの品種特性調査)
予算区分:道費 担当科:花・野菜技術センター研究部花き第一科
試験研究期間:平成8〜9年度 協力・分担関係
1.試験目的
市場性の高い品種の特性を比較するとともに、道内における生育について検討し、品種選定、栽培法 改善の資料とする。

2.試験研究方法
1)試験実施場所および年次:北海道立 花・野菜技術センター(滝川市)、平成8〜9年
2)作型(施設): 6月植え・9〜10月切り栽培(無加温ハウス栽培)
3)供試材料名:フラッシュピンク、マリンブルーなど延べ37品種・系統
4)試験規模:1区4〜6株(各年の供試株数は前表)、2反復(一部品種は1反復)
5)耕種概要
(1)苗養成:5月上旬から1ケ月程度、主に12cmポットで、昼温度20℃、夜温10℃で養成。
(2)定植期:平成8年6月4日、平成9年6月9日
(3)栽植密度(両年共通):ベット幅80cm、通路幅60cm、2条植え(条館40cm、株間45c m)、3.2株/㎡
(4)施肥量(kg/a):(両年共通):窒素;2.0、燐酸;2.0、加里;2.0(基肥のみ、ロング140日 使用)、推肥0.5t/a
(5)その他(両年共通):白黒ダブルマルチ使用、灌水はマルチの下に灌水チューブを配置。
換気は定植後、9月中旬まで最低15℃、最高25℃で、9月下旬からは最低20℃でサイドの ビニールを、また、換気扇は20℃以上で自動換気とした。 また、平成9年度は7月下旬から8月中旬まで遮光(黒寒冷遮:40%)した。

3.結果の概要
2年間供試した品種を中心に検討した。主な特性の概要は次のとおりであった。
(1)採花期
採花期は8月下旬から9月上旬のものが多かった。未抽台株の発生はほとんどなく、品種・系統内の抽台始もほぼ揃っていた。
(2)花色
品種・系統内の個体間の揃いは良かった。ガク色はカタログ表示でピンク系のものは紫ピンク系と赤紫系に群別でき、フラッシュピンクスーパーは明赤紫であった。ブルー系のものは青紫系と青味紫に群別でき、マリンブルーは浅青味紫であった。イエロー系はミリオンイエローが鮮黄緑、ミルキーウェイが淡緑黄、アプリコットエースが明黄橙色であった(表1)。小花色はほとんどが、肉眼では白色に見えるものが多かったが、一部黄色のものも含まれていた。
(3)切り花特性
総採花本数、規格内採花本数、規格内率等では、品種・系統間の差は大きかった(表1)。時期別採花本数は、採花初期に集中するものが多かったが、中〜終期にもある程度採花できる材料も認められた。
切り花長、切り花重も差が大きかった。切り花長は、50〜70㎝の範囲にあるものが多かったが80〜100㎝以上のが採花できた材料もあった。茎の太さは5㎜前後を示すものが多かった(表1)。翼幅は広いもので3〜4㎜程度のものが多く、分枝数は多いもので3本程度であった(表1)。 全体の草姿は、アプリコットエース、ミルキーウェイなどのように、切り花長が長く、分枝数が多く、切り花重が重いタイプ、ミリオンイエローのように切り花長が長くはないが、分枝数が多く、ブラシが大きく切り花重が重いタイプなどがあった。
(4)その他特性
灰色かび病の発生は採花初期は少なかったが、採花後期は株枯れの主因となり、一部品種・系統でその程度が大きかった。花径の花首部分の褐変のしやすさ、花茎先端部の黒変、花茎の下部の亀裂 の発生に、時期にもよるが発生程度の高い品種・系統が認められた。

表1スターチス・シヌアータ(栄養系)の品種特性Ⅱ(6月上旬定植)
NO 供試材料名 総採花
本数
規格採花
本数***
切花長 切花重 茎径 分枝数 翼幅 小花序
の長さ
ガクの色
****
ピンク系
1 フラッシュピンク 4 5 5 5 8 3 5 6 (濃桃)
2 フラッシュピンクスーパー 4 5 4 5 8 3 4 5 明赤紫
5 ラッスルピンク 7 8 4 4 8 4 4 5 濃紫ピンク
6 パープルドリーム 5 7 5 4 8 3 4 5 鮮赤味紫
7 サンデーラベンダー 6 6 4 4 7 4 3 5 明赤紫
11 クリスタルピンク 6 7 5 4 7 3 3 5 淡紫ピンク
15 ソピアの夢* 4 3 4 5 8 4 3 5 鮮赤紫
16 ソピアの雅* 4 4 4 5 9 4 3 5 濃赤味紫
17 ピンクレディ 5 7 5 4 8 4 3 5 鮮紫ピンク
30 リウスピンク** 4 7 6 5 8 5 3 6 紫ピンク
36 リオスターピンク** 4 5 4 5 8 3 3 5 鮮赤紫
青紫系
3 マリンブルー 5 4 4 4 6 3 3 5 浅青味紫
8 ミリオンブルー 5 7 5 4 7 4 4 5 明青味紫
9 ミリオンバイオレット 5 7 5 4 7 4 3 5 鮮青紫
19 ライラックピンクエース 6 9 5 4 8 5 4 5 浅青味紫
32 シェルバイオレット 5 6 5 4 8 4 3 5 明青味紫
33 ストリームパープル 5 7 5 4 8 3 3 5 鮮青味紫
黄色系
10 ミリオンイエロー 3 4 5 5 7 4 5 6 鮮黄緑
18 ミルキーウェイ 6 9 6 4 8 6 4 5 淡緑黄
20 アプリコットエース 5 8 7 5 8 6 3 5 明黄橙
 注)*印は平成9年度の,**は両年ともの定植苗が他より小さい。***は切り花長50cm以上の採花本数。****は観察結果による。

参考(指数に相当する値)
指数 総採花
本数
規格採花
本数***
切花長 切花重 茎径 分枝数 翼幅 小花序
の長さ
本/株 本/株 g
3 <20 <10 <50 <10 <3.0 <1.5 <2.0 <10
4 <30 <15 <60 <20 <3.5 <2.0 <3.0 <15
5 <40 <20 <70 <30 <4.0 <2.5 <4.0 <20
6 <50 <25 <80 <40 <4.5 <3.0 <5.0 <25
7 <60 <30 <90 <50 <5.0 <3.5 <6.0 <30
8 <70 <35 <100 <60 <6.0 <4.0 <7.0 <35
9 70≦ 40≦ 100≦ 60≦ 7.0≦ 4.5≦ 7.0≦ 35≦
 注)***は切り花長50cm以上の採花本数

4.成果の活用面と留意点
本試験は、購入栄養系苗を5月から1ケ月程度養成し、6月上旬に本圃に定植、秋切り無加温の作 型で評価していることを考慮すること。

5.残された問題点とその対応
今後導入される新品種の特性調査と規格品収量を上げる栽培法
長期採花作型における収量向上・品質改善に対する管理法