農業研究本部

サイレージ用トウモロコシ新品種「ワセホマレ」の育成について

櫛引 英男、中野 博之、桑畠 昭吉

北海道立農試集報.41,91-103 (1979)

 「ワセホマレ」(道交S1号)は1970年北海道立十勝農業試験場で育成された早熟性の サイレージ用トウモロコシ複交配一代雑種である。  組合せは(N19×To15)を種子親、(CM37×CMV3)を花粉親とした。N19およびTo15は北 海道在来種より育成した北方型フリント種、またCM37およびCMV3はカナダより導入し たデント種である。  1978年、「とうもろこし農林交21号」として登録された。  特性は「ヘイゲンワセ」に比較して、発芽とその後の初期生育、耐倒伏性、耐病性 でまさり、機械化栽培に適している。また、茎葉が長大で草勢が旺盛なので、生草、 乾物、およびTDN収量は「ヘイゲンワセ」をl0%程度上回る。  絹糸抽出期は「ヘイゲンワセ」より2日程度晩いが、刈取時の乾物率は「ヘイゲン ワセ」並みかやや高くなって黄熟期に達し、乾物中TDN70%以上の高品質・高栄養の 原料がえられる。  雌穂の諸形質は「ヘイゲンワセ」並みで、採種栽培も安定している。  道東、道北、および道央北部に栽培する。


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