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十勝農業試験場

小豆・菜豆のQ&A

これまでに皆様から寄せられたご質問等を基に、豆全般/品種/栽培/流通/利用の順で並べてみました。なお、本稿を作成するにあたり、「雑豆に関する資料」(公益財団法人日本豆類協会)を参考にさせていただきました。

豆類にはどのような種類がありますか

日本で主に食べられている豆類の種類としては、小豆、菜豆(インゲンマメ)、大豆、エンドウ、ささげ、落花生、ソラマメ、リョクトウ、ケツルアズキがあります。それぞれの用途を表に示しました。

豆の種類
種類説明
小豆 餡、和菓子、甘納豆、赤飯等に用います。北海道が主産地で全国の製餡業者やお菓子屋さんに出荷されます。
菜豆 乾燥した豆を餡、和菓子、甘納豆などに用いる品種と、未熟の青さやを莢インゲンとして食べる品種があり、十勝で広く作られるのは前者で、金時や手亡、うずらなどの種類があります。小豆と同様、北海道が主産地で全国の 煮豆業者、製餡業者やお菓子屋さんに出荷されます。
花豆 菜豆と似た大粒の豆で、独特の風味があります。白い豆の白花豆と、紫の地色に黒い斑紋の入った紫花豆があり、乾燥した豆を甘納豆、煮豆、餡などに用います。北海道が主産地で、全国の煮豆業者や 甘納豆業者等に出荷されます。
大豆 豆腐、納豆、油揚げ、豆乳、味噌、醤油の原料となります。全国で栽培されており、出荷先や加工先も全国にあります。なお、食用油の原料としても用いられますが、食用油用には輸入されたものが使用されます。
エンドウ 乾燥した豆をうぐいす餡や甘納豆、みつ豆等に用いる乾燥子実用品種と、未熟の豆をさやからむいて豆ご飯等に用いる未熟子実用品種、さやえんどう用の品種があります。乾燥豆は今ではほとんどが輸入されています。
ささげ 関東や東北地方で赤飯用として赤色のササゲが栽培される他は、あまり栽培・使用されていません。
落花生 ピーナッツです。千葉県等で栽培がありますが、今では輸入品が主です。
ソラマメ 未熟豆を野菜用として栽培される以外は、ほとんどが輸入品です。
緑豆 もやしや春雨の原料として輸入され、国内での栽培はほとんどありません。
ケツルアズキ もやしの原料として輸入され、国内での栽培はありません。

これらの他に、ライマメ、ヒヨコマメ、レンズマメ、キマメ等が食用として利用されています。

そもそも菜豆ってなんですか

子実を食用にしているいんげん豆の別称で、特に北海道の生産、流通の場面で旧来より使われてきました。統計では「いんげん」が使われることもあり、混乱することもありますが、大豆、小豆、及びさやのまま食する以外の豆、と考えて下さい。

小豆や菜豆は世界のどこで栽培されていますか

小豆を自国の食用として伝統的に栽培しているのは、日本、中国、韓国、台湾、ブータン、ベトナムといった、主に極東アジアに限られています。しかし現在では、日本への輸出向けに、アメリカ、カナダ、オーストラリア、アルゼンチン等でも栽培されるようになりました。

菜豆類は中米が原産で、非常に種類が多く、栄養価に富み、比較的栽培が容易であることから、世界中で栽培されています。特に、中南米諸国では、さまざまな料理として半ば主食のように食べられており、広く栽培されています。アメリカでも、カウボーイ料理として有名なポークビーンズに使われており、北部の州やカナダで栽培されています。

一方、ヨーロッパでもスープなどに広く使われており、多くは輸入されていますが、フランスなどでは一部栽培されています。アフリカでは、暑さに強いササゲが主流ですが、エチオピアなど一部の国でインゲンマメも栽培されています。アジアでは比較的栽培は少なく、日本、中国、東南アジアで栽培されています。

菜豆を、煮豆や餡のように甘く味付けするのは日本独特で、他の国や地域では、スープや煮込み料理の食材として使用されるのが普通です。

小豆にはどのような種類や品種がありますか

現在流通している北海道産小豆は普通小豆、大納言、白小豆の3つの種類があり、表のような優良品種があります。

北海道では、品種ごとにどの種類に属するのか決まっています。普通小豆と大納言はいずれも赤い小豆ですが、大納言に分類されているのは普通小豆に比べて大粒の品種です。白小豆は粒の色が黄白色のもので、流通量はきわめて限られています。

この他に、普通小豆をふるって大粒のものだけを集め、“大粒小豆”という名称で販売されることがあります。

本州以南では、在来種の栽培が主体となっている府県が大半で、丹波大納言、丹波白小豆、備中白小豆など、地域特産となっているものがあります。また、いくつかの府県では独自の品種を優良品種等に認定しています。

小豆の種類と作付面積
道府県 普通小豆 面積(ha) 大納言 面積(ha) 白小豆 面積(ha)
北海道 きたろまん 6,236 とよみ大納言 1,385 きたほたる 25
エリモショウズ 5,780 アカネダイナゴン 151
きたのおとめ 3,052 ほまれ大納言 147
しゅまり 536
サホロショウズ 128
エリモ167 42
ちはやひめ 1
青森 大納言
岩手 紅南部 ベニダイナゴン
岩手大納言
山形 ベニダイナゴン
福島 赤小豆 大納言
新潟 ときあかり ベニダイナゴン
長野 中納言
京都 京都大納言

(北海道の作付面積はH29年度、北海道農政部調べ)

小豆にもカラフルなものはありますか

品種ではありませんが、小豆には様々な色の種類があります。小豆の色で通常思い浮かべるのは、赤・赤紫・赤茶といった色だと思いますが、上で紹介した黄白色の白小豆が流通しています。この他に単一色として、黒・緑・黄・灰・褐があります。また、複色のものとしては、赤・緑・灰の地色に黒の小さい斑紋が種子全体に入ったもの、黄白色の地色の一部に赤や黒の部分斑紋が入ったもの、さらにその赤の部分に黒の小さい斑紋が入ったものがあります。

様々な色の小豆写真

菜豆にはどのような種類や品種がありますか

いんげんまめには多くの種類があり、さまざまな色や形をした豆が世界各地で栽培されています。金時はその中の1種類で、主に煮豆や甘納豆として食べられています。

現在北海道の優良品種として主に栽培されているのは表に示したように、金時は6品種、手亡は3品種です。

これら以外にも、昭和金時、丹頂金時、十勝白金時、そして大手亡、銀手亡など過去に育成された品種がありますが、現在はほとんど栽培されていません。

手亡(てぼう)は、あまりなじみのない豆かもしれませんが、白あんの原料として使われています。

菜豆の種類
種類子実の外観説明
金時類 金時の写真 赤紫色の大粒種で、煮豆や甘納豆、餡などに用いられます。蔓は出ません。北海道の十勝・オホーツク地方が主産地で、道外での栽培はありません。最近、中国で北海道の品種が栽培され始めているようです。
手亡類 手亡の写真 白色の小粒種で、ほとんど白餡原料として用いられます。古い品種の中には、短い蔓の出るものがありましたが、現在栽培されるほとんどの品種は蔓が出ません。北海道の十勝・オホーツク地方が主産地で、道外での栽培はありません。北海道の「姫手亡」という品種が、アメリカ・カナダ・中国等で栽培され、輸入されています。
うずら類 うずら類の写真 淡褐地色に赤紫の斑紋がある大粒種で、煮豆用。短い蔓が出る品種が栽培されていましたが、平成11年に蔓の出ない品種(「福うずら」)を当場で育成し、それが主流になっています。北海道の十勝地方が主産地で、道外での栽培はありません。
白金時類 白金時の写真 白色の大粒種で、甘納豆、餡、煮豆に用いられます。蔓は出ません。北海道の十勝地方が主産地で、道外での栽培はありません。
虎豆類 虎豆の写真 白地に臍周辺部のみ黄褐地で赤紫斑があります。中粒種で、高級美味な煮豆用です。蔓性で支柱栽培を行います。
大福類 大福類の写真 白色、扁平腎臓形の極大粒種で、甘納豆、煮豆、餡に用いられます。蔓性で支柱栽培を行います。
花豆類 花豆の写真 分類上インゲンマメと種が異なるベニバナインゲンに属します。大福類よりさらに大粒で、扁平腎臓形の子実です。白色の白花豆と、紫地に黒い斑紋のある紫花豆があります。甘納豆、煮豆、餡に用いられます。
菜豆の種類と作付面積
赤系金時 面積(ha) 白金時 面積(ha) 手亡 面積(ha)
北海道 大正金時 2,519 福白金時 231 雪手亡 777
福勝 1,445 絹てぼう 197
福良金時 590 姫手亡 82
北海金時 90
福寿金時 164
きたロッソ 0
かちどき 0

北海道での菜豆の栽培法について知りたい

菜豆には支柱を立てて蔓をまきつかせて栽培する種類と、蔓が出ない種類があります。ここでは、蔓が出ない種類について、産地である十勝、網走、上川地方での栽培法を紹介します。

5月下旬~6月始めに畑に種をまきます。通常は、60~66cm間隔の列(うね)に、20cm前後の間をあけて、2~3粒ずつの種子を深さ3cm程度にまきます。農家では、4列を同時に、肥料を入れながら種まきも行う総合播種機という機械で種まきを行います。小豆と同じ方法です。

種まき後7~10日で発芽し、その後は除草をしたり、うねの間を機械で浅く耕したりして土の中の通気や水分を調節します。金時では、7月始め頃に株元に窒素肥料を追肥することもあります。

金時やうずらは、7月10日頃から薄紫色の花を咲かせ始めます。花は2~3週間程度咲き続けてさやになります。天候が順調ならば、9月上旬から中旬頃に、葉が黄色くなって落ち、さやが緑色から淡褐色に変わって乾燥する成熟期になります。手亡は金時より10日程度遅れて開花が始まり、成熟期も10日程度遅くなります。手亡とは白いやや小粒の菜豆で、白餡の原料になり、白い花をつけます。うずらは淡褐色に濃い紫の斑紋のある大粒の豆で、主に九州で煮豆として食べられ、赤紫の花をつけます。

開花が始まってから成熟期までの約2ヶ月弱の間に、茎やさやを腐らせる病気の予防と、さやや茎に食い入る虫を退治するために、2~3回くらい農薬を散布します。

成熟した菜豆は、豆刈機という機械で刈り倒した後、”にお”と呼ばれる円筒形の山に積んで乾燥させた後、9月下旬~10月中旬頃にかけて脱穀機で脱穀して出荷します。刈り倒した植物体を自動的に拾い上げながら脱穀する、「ピックアップ装置つき」の脱穀機やコンバインによる省力的収穫・脱穀は、小豆ほどは普及していません。

農家から出荷された菜豆は、農協や流通業者で、石抜き・選別等で調製された後、加工先に出荷されたり、小袋に詰めて小売店に出荷されます。

小豆や菜豆栽培ではどんな農薬が使用されていますか

北海道では作物の病害や害虫を防除する際に使用する化学合成農薬の利用ガイドラインとして、「北海道農作物病害虫・雑草防除ガイド」が毎年出版され、これに沿った指導が行われています。しかし、地域や各年の気象条件、品種、輪作体系によっても病害虫の発生状況は異なる上、同じ病害や害虫に対して効果のある複数の薬剤が存在することなどから、実際に生産者がどのような銘柄の農薬をどれだけ使用して豆類の生産を行っているのかを示すのは困難です(農家個々には使用履歴を記録することが義務づけられています)。

ここでは、十勝地方の菜豆を例に、一般的な除草体系や病害虫防除の流れを示します。

小豆・菜豆の農薬散布時期
播種前 炭そ病、かさ枯病などの各種病害やタネバエなどの防除のため薬剤を種子に粉衣して消毒します(1回)。
播種時 タネバエ、アブラムシの防除のため薬剤を肥料と同じく播溝施用します(1回)。
播種後~出芽前 除草剤を土壌表面に散布します(1回)。
生育時 炭そ病、かさ枯れ病、菌核病、灰色かび病などの各種病害やアブラムシなどの防除のため薬剤を茎葉散布します。栽培期間中に散布することができる時期や回数は薬剤ごとに、例えば「収穫21日前までに2回まで」のように決められています。

園芸用に金時を栽培したいがどのようにすればいいですか

プランターや鉢で育てる場合

種まきは、北海道なら5月下旬~6月中旬、本州なら6月中旬~7月下旬頃が良いでしょう。土は特に選びません。畑や庭の土、市販の園芸用培養土で大丈夫です。肥料は、草花を栽培するのに比べてやや少なめに入れてください。

鉢であれば、直径20cm程度の深鉢に2~3粒、細長いプランターなら2~3粒を3株程度で、深さ3cm位に種まきします。あとは、乾き過ぎない程度に潅水すると、7~10日程度で発芽します。金時は、過湿を嫌いますので、発芽後も乾き過ぎない程度に潅水してください。日当たりの良いところで育てると、発芽後1ヶ月程度で薄紫色の花が咲き始めます。花は1日でしおれますが、約2週間程度は次々に咲き続けます。

花弁が枯れ落ちたあとに、莢がついて大きくなります。但し、咲いた花すべてが莢になるのではなく、半分以上は小さいうちに落ちてしまいます。この時期に、葉の色が薄くなっていくようでしたら、液肥などで肥料を追加してください。

花が咲いてから1.5~2ヶ月で、莢は緑色から黄色、白褐色と変色しながら乾いていきます。それとともに、葉の色も薄くなり、やがて黄色く変色して落葉し、成熟期となります。この時期に、莢に雨が当たると、莢の中の豆の色が流れたり、豆が腐ったりしますので注意します。

莢を軽く振って、カラカラと音がするくらいになったら収穫します。乾いた莢の中には、赤紫色の金時豆がなっているはずです。

家庭菜園などの露地で栽培する場合

種まきの時期はプランターの場合と同じです。土は特に選びませんが、極端に水はけの悪い場所や日当たりの悪い場所、粘土質のところは避けたほうが無難です。肥料は、他の野菜に比べて半分程度で十分です。

うねの間隔を50~60cmとし、20cm程度の間隔で2~3粒ずつ深さ3cm程度に種をまきます。あとは、プランターの場合と同様で、発芽後1ヶ月程度で薄紫色の花が咲き始めます。花は1日でしおれますが、約2週間程度は次々に咲き続けます。

花弁が枯れ落ちたあとに、莢がついて大きくなります。但し、咲いた花すべてが莢になるのではなく、半分以上は小さいうちに落ちてしまいます。この時期に、葉の色が薄くなっていくようでしたら、株元にパラパラと化成肥料を少量追加してください。

花が咲いてから1.5~2ヶ月で、莢は緑色から黄色、白褐色と変色しながら乾いていきます。それとともに、葉の色も薄くなり、やがて黄色く変色して落葉し、成熟期となります。この時期に、莢に雨が当たると、莢の中の豆の色が流れたり、豆が腐りまするので注意します。

半分から8割位の莢が白褐色に変色したら、刈り取って軒下につるすなどして乾かします。カラカラと音がするくらいになったら脱穀してください。

小豆や菜豆を収穫してから出荷されるまでにどのような選別がされますか

農家で収穫された小豆が、そのまま皆さんのお手元に届くことは、まずありません。農協や民間の流通業者が農家から集荷し、下に示したような行程で、屑豆やその他の異物を取り除き、さらに表面を磨いて出荷します。

また、金時については、人の手によって屑豆等を取り除く場合があります。

下図は、北海道での集荷から出荷までの一般的な 調製行程です。

小豆調整の流れ

小豆や菜豆の種子としての寿命はどれくらいですか

小豆は、種子としての寿命は非常に長く、室温条件で紙袋で保存しておいても、7~8年は発芽します。但し、種皮の地色が白(黄白色)の種類は寿命が短く、3年目になるとかなり発芽率が低下し、5年くらい経つとほとんど発芽しなくなります。5°C程度の低温で、適湿度条件下で保存すると、種皮色に関係なく15年以上経っても90%以上の発芽率が維持されます。

菜豆は、小豆に比べて寿命はずっと短く、3年目になるとかなり発芽率が低下します。しかし、5℃程度の低温で、適湿度条件下で保存すると、10年以上経ってもかなり高い発芽率が維持されます。

小豆の国内主産地はどこですか

小豆の現在の主産地は北海道で、面積で全国の約80%、収穫量で93%を占めています。下の図で示したように昭和30年代は府県でもかなり小豆の栽培面積がありましたが、その後、急激に減少しています。

小豆作付面積の推移グラフ

都府県での小豆栽培は、自分の家で食べることを目的とした小規模な栽培がほとんどでした。しかし近年、地方の中小都市近郊に大規模ス-パ-が進出し、そこで小豆や加糖アンが購入可能となったことも、栽培衰退の一つの原因かもしれません。

逆に北海道では、早くから本州に出荷するなど、商品化率が高い経済作物として積極的に機械化、大規模化を進めるとともに、品質的にも高い評価を得てきたことから、全国の主産地となっています。

北海道に次いで栽培面積が多いのは、兵庫県(707ha)、京都府(453ha)、岡山県(326ha)、岩手県(271ha)などです(平成30年)。このうち、京都府の「丹波大納言」や岡山県等の「備中白小豆」などは、最高級品として特産的に栽培されています。

小豆はどれだけ輸入されていますか

近年、小豆の消費量は年間7~8万トンで推移しています。これに対して、年間の生産量は3~7万トンで、年による豊凶格差が大きく、3~6万トンの在庫と2~3万トンの輸入を加え需給調整が行われています。

小豆の輸入先は、数量、金額ベースとも中国がトップで、カナダがそれに続いています。第3位のアメリカは中国の1割程度に留まっています。アメリカ、カナダでは小豆を食べる習慣はなく、日本へ輸出するために栽培されています(アメリカでは、国内のチャイニ-ズレストランに極少量出荷されているようです)。

ちなみに、小豆の輸入品には関税割当制度が導入されています。これは、一定の数量以内の輸入品に限り、無税または低税率の関税を適用して、需要者に安価な輸入品の提供を確保する一方、この一定数量を超える輸入分については比較的高税率の関税を適用することによって、国内生産者の保護を図る制度です。

なお、近年、主に中国で原料生産、加工される小豆、菜豆の加糖アンの輸入量が急激に増加しており、安価な商品の原料として利用されています。

小豆や菜豆は品種ごとに市場に流通していますか

小袋売りの場合は、「小豆」、「大納言」、「金時(または大正金時)」、「うずら豆」、というような種類ごとで袋詰めされて売られており、 普通は品種名までは記載されていません。

北海道から加工メーカーに出荷する場合、品種を混合して出荷することはほとんどありません。ただし仲買の段階で調整されたり、廉価な小豆原料の場合は複数品種を混合することもあり得ます。

いずれにしろ、取引している流通業者に依頼すれば、単一品種の原料は比較的容易に入手できるはずです。

大納言小豆の規格とはどのようなものですか

まず、大納言小豆に属する品種が決まっています。それ以外の品種が、以下の基準を満たしたからといって、大納言小豆として流通することは原則としてありません。その上で、北海道の大納言小豆の流通規格は、原則として粒度5.5mm以上(1.8分篩上)となっています。

さらに、ホクレン等の流通業者では、1.9分篩上が何%といった、より厳しい規格を設けているのが普通です。それ以下の粒度の子実については、大納言小豆とは別に(普通小豆よりも)廉価で流通されます。

普通小豆に属する品種でも、年次・産地により大納言規格を満たす場合があります。しかし、最初に述べたように、この場合でも大納言小豆として出荷されることはありません(ただし一部は「大粒小豆」として出荷される場合があります)。

小豆や菜豆の等級の基準や価格差、等級ごとの出荷量は

等級は、農産物検査法に基づく農産物検査規格のうち「規格その2」の分類です。主に整粒率による分類です。

小豆・菜豆では、整粒率の最低限度は1等が90%、2等が85%、3等が65%、それ未満は規格外となります。但し、整粒率が基準を満たしていても、粒の色や張り等の“形質”といわれる見栄えが不十分だと等級が下がります。

価格は、1等を基準(建値)として、豆の種類ごとに協定歩引きが決められており、等級が下がるごとに建値からその分差し引かれた値段となります。

但し、小豆や菜豆では、法律上検査が義務づけられておらず、実際の流通上ではいずれの出荷元も自主検査で2等に調整して出荷しており、1等や3等はほとんど出回りません。等級とは別に、出荷業者独自にどこまで厳しく調製したかによって、販売銘柄を設定して価格を独自に設定し、出荷しているものもあります。

そもそも菜豆ってなんですか

小豆、菜豆に対し「新豆」の呼称が用いられることがあります。その定義について、いくつかの流通業者に問い合わせてみました。

「新豆」の定義は明確に定まっておらず、流通業者や加工メーカーの間で流通上の呼称として用いる場合、秋に収穫された豆について、翌年の生産物が出回るまでの1年間、「古品」に対する呼び方として用いている、ということでした。

たとえば、平成26年産の豆は、平成26年に収穫されてから、平成27年産が収穫されるまでの1年間、「新豆」と呼ばれて取引されます。これに対し、平成25年産以前の豆は「古品」と呼ばれます。なお、「新豆」と「新物」は同じ意味で使われます。

一方、菓子メーカーや菓子屋さんでは、一般的に秋に収穫して間もない豆、いわゆる「新米」のような意味合いで、「新豆使用の和菓子」といった使い方をしますが、この場合は、おおよそ年内いっぱいだろうということです。

餡の原料となる豆は何ですか

原料としては、小豆(大納言、白小豆を含む)、手亡、大福、金時、うずら、ささげ、青えんどう等があります。

煮た豆をつぶして味付けをしただけの”つぶ餡”と、つぶした後にさらし布等で漉して皮を除いた”こし餡”に分けられます。

一般的に、黒っぽい紫色の餡には赤い小豆や大納言小豆が使用され、白餡には輸入白インゲン、国産の手亡、大福、白小豆等の白い豆 が使用されます。金時やうずらの餡は、小豆餡とブレンドされて使用されることが多いようです。また、ささげは輸入物で価格が安いため、安価な餡の原料として用いられることがあります。青えんどうは、うぐいす餡の原料です。

小豆や金時の栄養にはどんな特徴がありますか

小豆の主成分は、デンプンを主体とする炭水化物とタンパク質ですが、カルシウム・鉄分等のミネラルや、ビタミン類が豊富に含まれます。脂質は約2%程度と低いのも特徴です。特にビタミンB1が比較的多く含まれ、昔から脚気に効くといわれてきました。

また、小豆にはサポニン類、ポリフェノール類が含まれ、コレステロール低下作用、利尿作用、抗酸化作用といった機能性を持っています。

中でも特筆すべき特徴は、食物繊維を豊富に含むことで、カロリー、たんぱく質、ミネラル、ビタミン類をバランスよく豊富に含み、食物繊維にも富んだ、健康食品であるといえるでしょう。

一方、金時豆には約60%の炭水化物と約20%のたんぱく質が含まれています。そのためインゲンマメを炭水化物、たんぱく質の重要な供給源としている地域があります。脂質が約2%と低いのが特徴です。

またビタミン、ミネラルや食物繊維も豊富に含まれており、それぞれ健康を維持するためのさまざまな効果をもつと考えられています。

小豆や金時の保存方法が知りたい

長く品質を落とさないために一番良いのは、低温・適湿度条件下での保存です。5°Cで適湿度(湿度60~70%程度)なら2年間、15°C以下でも1年程度は品質が保たれます。

但し、同じ低温条件でも、極端に乾燥あるいは湿った 状態の場合は、空気の出入りがないポリ袋や容器に密封しておかないと、乾燥しすぎて煮えづらくなったり、逆にカビが発生してしまいます。

家庭で少量保存する場合は、ビニール袋などに密封して、冷蔵庫の野菜室などに入れておくのが良いと思われます。