水産研究本部

イカナゴ(こうなご):いかなご敷き網漁業(火光を利用する敷き網)

イカナゴ

漁業の情報

漁業許可等の区分知事許可漁業
主な操業地域渡島・後志・留萌・宗谷 振興局沿岸
取材地後志総合振興局管内寿都町
漁場水深30m以浅、距岸1マイル前後
漁具いかなご敷き網:網地はもじ網(無結節の目の細かい網、目合い1.7ミリメートル程度)網幅6~8m程度、長さは13~15m前後(寸法に規制はなく、船の長さなどに合わせて漁業者個々に設定)
専用ボンブ(マスト状の支柱と移動式の滑車が付いた簡易なクレーン):支柱の高さ4m前後、舷から張り出したレールの長さは6m前後で、船の大きさによって網やボンブの構造が異なる。
集魚灯:明るさは6kw(2kw×3基)以下に規制。
漁期4~6月
漁船規模10トン未満
出荷形態鮮魚、発泡スチロール魚箱10kg詰

対象魚の情報

標準和名イカナゴ
英名Japanese sand lance、sand eel
科目スズキ目イカナゴ科
学名Ammodytes personatus Girard
俗名、地方名小女子(コウナゴ:体長6cm以下位)コナゴ、シラス、チリメン、シラウオ、メロウド、ナガヨ
中女子(チュウナゴ:体長10cm前後)
大女子(オオナゴ:体長10cm以上)
混獲魚ホッケ、ソイ類、各種稚魚類
道内主産地渡島半島南東部~津軽海峡(渡島総合振興局沿岸)、日本海(渡島・後志・留萌・宗谷 振興局)沿岸

漁業のすがた

いかなご敷き網漁業は、夜間に集魚灯でイカナゴ稚魚を集め、敷き網ですくい取る漁法です。通常、敷き網は船縁にあるローラー軸に巻き付けられ、操業の際はイカナゴの群れの集まり方によって、網の長さを調整して垂下します。
当地域のいかなご敷き網漁業は、4~6月に行われ、漁期は短いものの、漁業のみならず加工業などの地域産業を支える非常に重要な漁業となっています。
しかしながら、同漁業では、魚群の形成状況によって一晩で少ないときには数kg、多いときでは数百kg以上の漁獲があり、漁期が短く出漁日数が限られる中では、漁獲量が多い日の出漁回数が年間漁獲量を大きく左右し、さらに単価が、漁獲量のほかに魚体サイズによって変化することから、漁獲金額の変動が激しく不安定な漁業といえます。このため、一回の操業でより効率よく漁獲するために無線で情報を交換し、複数の操業ポイントを移動しながら漁を行っています。
周辺地域で漁獲されたイカナゴの殆どが寿都町に集荷され、仔稚魚を生から佃煮にした「生炊きシラス」は、寿都町の特産品として販売されています。特にサイズの小さいものが高級品として重宝されます。
 

増殖と管理

これまでの水産試験場や水産指導所の調査から、1日当たりの成長量が把握され、ふ化時期の推定が可能となりました。
また、漁獲物の魚体測定や産卵海域の水温観測を継続的に行い、今後の生態解明や資源管理に向けた基礎資料を蓄積しています。

写真で見る

操業手順模式

漁具の名称

手順1:集魚灯でイカナゴが集まったところに敷き網を垂下します。

手順2:ボンブ(簡易クレーン)の先の滑車に通したロープを巻き、網を引き揚げます。

手順3:敷き網をたぐり寄せ、網の中のイカナゴを取り込みます。

操業方法

出航:午後6時、漁場を目指して一斉に出航します。

準備:日が落ちる前に、漁場で操業の準備をします。

集魚:集魚灯を点けてイカナゴの群れを集めます。

イカナゴ:集魚灯に集まるイカナゴです。

投網:敷き網を海中に投網します。

揚網1:敷き網をボンブで引き上げたところです。たくさんのイカナゴが見えてきました

揚網2:敷き網をたぐり寄せている途中です。

取り上げ1:イカナゴを網の中央に寄せます。

取り上げ2:集まったイカナゴをタモ網ですくいます。

漁獲されたイカナゴ:混獲魚は随時取り除きます。

帰港:入札時刻に合わせて、まだ、夜の明けきらぬうちに帰港します。

出荷・入札

出荷1:イカナゴは発泡スチロール箱に移し替えられ、市場に並びます。

出荷2:盛漁期には市場に所狭しと発泡スチロール箱が並びます。

入札:これから入札の始まりです。

加工

釜炊き1:加工場に搬入されたイカナゴを5kgずつ容器に分けます。

釜炊き2:ずらりと並んだイカナゴを炊く釜です。

釜炊き3:撹拌しながらイカナゴを煮付けます。

冷却・風乾1:炊きあがったイカナゴを冷却するため広げます。

冷却・風乾2:風乾することにより”照り”を出します。

製品:「生炊きシラス」の出来上がり。

協力:後志総合振興局管内/寿都町漁業協同組合 小女子部会
取材:後志南部地区水産技術普及指導所

最終更新日:2013年03月01日