水産研究本部

ホッカイエビ:えび打瀬漁業(ホッカイエビ)

ホッカイエビ

漁業の情報

漁業許可等の区分知事許可漁業
主な操業地域根室振興局管内野付湾
取材地根室振興局管内別海町尾岱沼
漁場野付湾内の水深1~3メートル、砂泥質のアマモ場が漁場となっており、面積は約36平方キロメートルである。
漁具打瀬網漁業は、漁場内では動力を使用せず帆を張り風力により操業を行う。 網は大きく分けて袖網、身網、胴尻の3部分から構成されており、袖網には浮子と沈子、身網の入口には口開け棒が、胴尻の最後尾には開閉用のファスナーが付けられている。 全長16メートル以内、網は10節(3.4センチメートル)以上の大きい目合いを使用するよう制限している。
漁期漁期は6~7月の夏漁と10~11月の秋漁に分かれている。操業期間は各種調査により、資源量や脱皮状況等を把握し協議を行って決定している。
漁船規模1~2トンの船外機船で乗組員は1名
出荷形態ホッカイエビは主に煮エビで流通しているが、生きたまま煮ることでその色合いは鮮やかに表れる。そのため、野付漁協では操業中は漁獲物をプラスチック籠に収容して海中に垂下し、市場では冷却海水をかけ流した生簀に蓄養して活エビで加工場に出荷している。

対象魚の情報

標準和名ホッカイエビ
英名hokkai shrimp
科目十脚目タラバエビ科
学名Pandalus latirostris Rathbun
俗名、地方名ホッカイシマエビ シマエビ ツケエビ(大型個体)
混獲魚なし
道内主産地野付湾、サロマ湖、能取湖、厚岸湾、宗谷湾

漁業のすがた

 ホッカイエビは浮遊幼生期がなく、雄性先熟の性転換をし、満1才で雄、満2才で雌として生殖し、生活史のすべてをアマモ場に依存します。
 打瀬網漁業は、明治から続く北海道遺産にも登録された伝統的漁法です。風力で曳き網し、漁場内で動力を使用しないため、アマモを傷つけず、アマモ場の保護に効果があります。
 

増殖と管理

 ホッカイエビの漁獲量は、戦後から昭和40年代までは90トン台で推移していましたが、昭和50年代は50トン台に、昭和59年には14トンまで減少しました。主な要因は産卵群の乱獲と考えられたことから、その保護による資源の回復を主眼とした資源管理プログラムを作成して、秋漁の禁漁などの厳しい漁獲規制を実施しました。その結果、昭和59年から62年までの4年間で14から95トンへ漁獲量を回復させることができました。
 現在、資源管理プログラムを基礎とし、漁協が主体となり、指導所、町水産課の協力により各種調査を行い、資源診断、生態の知見を収集しながら漁獲量、漁期、漁具漁法、漁獲サイズの制限(近年は体長90ミリメートル以上に設定)、禁漁区の設定等厳しい資源管理を実施して、持続生産を図っています。

注)資源管理プログラムは200万尾以上の産卵群(雌エビ)を保護することや禁漁区の設定、体長制限を設けることで自然の力による再生産を目的としている。

写真で見る

漁具

網漁具の全景:漁具は大きく分けて袖網、身網、胴尻の3部分で構成され、袖網には浮子と沈子、身網の入口には口開け棒が、胴尻の最後尾には開閉用のファスナーが付けられている。

漁業・漁獲の流れ

投網1:風下に向かって、網を手繰って流すように投網します。

投網2:網の状態を確認しながら広げていきます。

投網3:網が入った様子です。

曳網:帆を張り風力でホッカイエビの生息場であるアマモ場で網を曳きます。

揚網1:網を手繰り寄せているところです。

揚網2

選別:船上で素早く選別を行い、稚エビや規格外のエビ(近年は90ミリメートル未満)を速やかに放流している。

漁獲物1:選り分けたホッカイエビです。

漁獲物2:選別の終わったエビはカゴに入れられ操業終了まで鮮度を保つため海中に垂下します。

出荷状況

出荷1:荷受時の計量の模様です。

出荷2:荷受されたエビは漁業者別にカゴに入れて「競り(セリ)」まで市場内の水槽で蓄養されます。市場では水槽に冷却海水をかけ流して競りが行われるまで鮮度保持に努めまます。

競り:仲買人により競られている様子。

資源量調査・標識放流

資源調査1:ホッカイエビの資源状況の把握を目的に曳き網で調査を実施します。

資源調査2:陸上で漁協、町、指導所職員が雌雄の判別、体長、体重の測定を行っているところです。

標識放流調査:漁協、町、指導所職員によりエビに標識を装着しているところ(標識としてエビの額角にカラー針金を巻く)です。

協力:根室振興局管内/野付漁業協同組合
取材:根室地区水産技術普及指導所 標津支所

最終更新日:2013年03月01日