水産研究本部

試験研究は今 No.55「近年のホタテガイ種苗生産状況とその需要状況について」(1991年2月8日)

近年のホタテガイ種苗生産状況とその需要状況について

  平成2年秋に採取されたホタテガイ稚貝は現在各地区で中間育成されていますが、種苗生産の状況や種苗導入計画等について12月に各水産普及指導所を通し調査した結果を専技室で取りまとめましたので、お知らせします。

1:昭和60年~平成2年の種苗生産数と利用状況

  総種苗生産数は、昭和60年~62年にかけて増加し、63年に40億個台になり、平成2年には43億9千万個になっています。なお、総種苗生産数とは、地元で採苗した稚貝と、他の地区から採苗袋に入ったままの稚貝や袋から振るい落とした稚貝を購入したものの計からなっています。昭和60年~平成2年までの種苗生産数とその利用状況は下図のとおりで、その利用状況は次のように推移しています。
    • 昭和60年~平成2年の種苗生産数と利用状況
また、これらの年次別利用状況は次のとおりになっています。
  1. 養殖向け種苗数:養殖向け種苗は、昭和63年から12億個台に入り、平成2年には約14億個(全種苗の32パーセント)となっています。
  2. 増殖向け種苗数:増殖向け種苗は、昭和60年には9億個台だったのが、昭和61年には13億8千万個、62年には15億2千万個と急激に伸び、平成2年には約16億8千万個(全種苗の38パーセント)となっています。
  3. 出荷向け種苗:出荷向け種苗は、昭和60年は6億1千万個でしたが、62年、63年は14億個台へと伸びを示しましたが、平成元年には13億6千万個、平成2年には13億1千万個(全種苗の35パーセント)となっています。

2:平成2年支庁別種苗生産数と利用状況

支庁別種苗生産数と利用状況
  総種苗生産数を支庁別に見ると、網走が15億1千3百万個(全種苗の35パーセント)と最も多く、次いで渡島、留萌の順となっています。また、これらの種苗の利用状況は次の通りです。
支庁別養殖向け種苗数
1. 養殖向け種苗:養殖向け種苗は、13億9千6百万個が養殖向け種苗となっており、支庁別では渡島が10億2千9百万個と全体の74パーセントを養殖用種苗として利用し、次いで胆振、網走の順となっています。
支庁別増殖向け種苗数
2. 増殖向け種苗:増殖向け種苗は16億8千3百万個で、支庁別には網走が12億3千4百万個と全体の73パーセントを利用し、次いで宗谷、留萌の順となっています。
支庁別出荷種苗数
3. 出荷向け種苗:出荷向け種苗は、13億1千21万個で、生産地別には留萌が最も多く、4億9千8百万個と全体の38パーセントを占め、次いで胆振、網走の順となっています。

3:平成3年の全道種苗導入計画と出荷向け種苗数

  平成3年の全道種苗導入計画は、13億1千63万個で、支庁別には宗谷が5億5千万個と最も多く、次いで網走4億4千6百万個、根室3億3百万個、桧山1千万個等となっていま'す。
 
  これに対して平成3年の出荷向け種苗数は、全道で13億1千6百21万個であり、特別な異常事態が生じない限り種苗の需給には支障がないものと考えられます。(専門技術員室)