水産研究本部

試験研究は今 No.70「ヒラメ陸上中間育成・放流事業に夢をかける-余市郡漁業組合ヒラメ種苗生産施設-」(1991年7月12日)

浜ウオッチング
  これから毎月1回、浜ウオッチングと題して、漁協、町村運営の陸上・沖合養殖(中間育成)施設や新たな取組みを行っている部会、青年部、婦人部など、各地の浜の情報をお伝えしていきます。第1回目は、余市郡漁業協同組合の、ヒラメ種苗生産施設を紹介します。指導部の本間課長にお話を伺いました。

施設の概要

ヒラメ種苗生産施設
ヒラメ種苗生産施設(写真)は、昭和63年度に事業費1億6千万円で完成された鉄骨造りの2階建て延べ面積755.02平米の建物で、8トン型の水槽18槽、4トン型の水槽10槽を備えている。

  • この施設ができるまでの経緯を教えて下さい。
    • この施設ができる前に、石狩湾沿岸八単協共同のヒラメ陸上中間育成施設を余市町の白岩町に建設しました。3万尾導入、1万5千尾放流という規模で行っていましたが、もっと大きな施設をもちたいということで、61年頃からの計画で動き始め、63年に新沿岸漁業構造改善事業の適用を受けて完成しました。
  • 今、行っていることは
    • 毎年10〜15万尾の稚魚を中間育成後放流しています。それと放流後残った種苗を試験的に越冬させ、将来に向かって、海中養殖や陸上養殖用の大型種苗を作れないだろうかと、6月まで飼って25〜30センチメートルにしたいという考えで進めています。 中間育成の方は予想以上の成績をおさめています。越冬試験の方は当初設定したボイラーの熱源が不足のためにフル可動はできないけれど、今3,000尾で試験中。色々な資料を見ても14度で失敗した例があるということで、うちは15度に設定しました。だいたい計画通りの数値がでています。
  • 困っていることは
    • まずボイラーの燃費、今重油をたいているのだが、25〜30センチメートル種苗に約4割から6割の油がかかっています。だからボイラーをたく秋までにいかに大きくするか、そしてボイラーをたく期間をいかに縮めるかという試験を行っています。
    • 2つ目に取水場所の水質が悪くなってきたので管の延長を考えています。それを早くやりたいね。
    • 3つ目に取水管にどうしても付着物がつくので、つきずらい管ということで作ったのだが、どうしてもついてしまう。今1本でやっているので将来的には2本にしたい。それともう一つ、ここは年中動かす施設だから種苗が一番少ない時期、冬から春にかけて管掃除をやらなくてはならない。種苗は毎年6月下旬から7月上旬に入るからできるだけ魚に影響のないようにしてやりたいと思います。
  • 施設の大きさはどうですか
    • 小さいんじゃない?やっぱりやるんであれば50万、100万という数ができるものでなければ…。
  • いま、常時何人くらいの人がいるのですか
    • 中間育成時期になると3人。常時2人います。
  • 視察にくる方も多いと思うのですが
    • 年間1,000人は来ています。
  • だいたい漁業関係者ですか
    • それもあるけど、学校の方が多いです。毎年札幌の小学生が来ています。
  • 今年度の計画は
    • 一回目の種苗が7月10日に、鹿部の栽培センターから3センチメートルサイズで10万尾入る。それを5センチメートルにして7月27日に7万尾放流します。一回目の放流が終わって2回目の搬入が7月末だから放流し終わったらすぐ入るだろうね。2回目は岩手県の日栽協宮古事業場から3センチメートルサイズで13万尾、それを8センチメートル9万尾、13センチメートル5千尾放流します。それと今年も越冬試験を行います。
  • 今年の標識の付け方は
    • 今年はALCといって色素で印をつける予定。あとリングをつけるというのもあります。 今年は鰭カットのものがよく市場に上がっているので、タッグなどをつけるよりも鰭カットの方が魚に負担がかからなくていいのかなあと思う。
  • 将来の抱負、夢などありますか
    • やっぱり年間通して、全水槽フル可動できるようになればいいと思っている。冬期間加温の問題がでてくるから、どうしてもフル可動ができない。将来、熱源が十分にとれれば冬期間もかなり水槽が空くので、当初設定の1万尾までもっていくようにしたいと思っています。
  • ありがとうございました。

ヒラメ放流式のお知らせ

  今年もヒラメ放流の日と題して、7月22日(月曜日)16時から開催します。場所は余市町の中央水産試験場前グラウンドです。試験場横の岸壁から600尾を放流します。皆さん来て下さいね。