水産研究本部

試験研究は今 No.76「1991年のオホーツク海へのマイワシの来遊状況について」(1991年9月6日)

1991年のオホーツク海へのマイワシの来遊状況について

  オホーツク海はマイワシの北上回遊の縁辺域(北限)に当り、毎年5月下旬から6月上旬になると沿岸の定置網で漁獲されるようになります。この春季に来遊するマイワシは日本海を北上して宗谷海峡を抜けてきたものと推定されています。またオホーツク海では6・7月における漁獲が多く、この時期が漁期の中心となっています。

  ところが、今年(1991年)は表面水温が例年より2~3℃高く(6月の定期海洋観測の結果より)、マイワシの来遊には好条件であったのにもかかわらず、6月中旬になってもマイワシの漁獲はみられませんでした。6月下旬になって、やっと水揚げがありましたが、その漁獲量は例年に比べて極めて少ない状況でした。

  図1に網走支庁管内の1980~’91年の各年における6月末までの漁獲量と年間の漁獲量を示しました。これを見ると両者の間には明らかな相関があり、6月末までの漁獲量から年間漁獲量の動向を推察することができます。
    • 図1
  そして、今年は6月末までの漁獲量が昨年に続いて急減しており、年間漁獲量も急減する可能性が高いものと思われます。なお、今年の6月末までの漁獲量については未集計の漁業協同組合があり、実際は図より多少増加するものと思われますが、集計済みの漁業協同組合(昨年6月末実績で全体の64パーセント)で比較しても、前年比で14パーセントに過ぎず、急激な減少であることは確かだと思われます。

  次に、1988~’91年6月のマイワシの年齢組成を図2に示しました。

  '88~'90年には、3・4歳魚が主体で、2歳魚も数~十数パーセントの比率でみられていましたが、今年は5歳魚が主体と高齢化しており、2歳魚はまったくみられていません。

  このことから、日本海のマイワシ資源について、後続年級群(若いマイワシ)が量的に少ないということが推察できます。そして来年以降、新たな卓越(大量発生)年級群が出現しない限り、日本海のマイワシ資源が減少し、それにともなってオホーツク海への来遊量もますます減少していくことが予想されます。(網走水試 漁業資源部 山口幹人)
    • 図2

~水産資源の新しい利用を図る~

 北海道立水産試験場の試作品展示、試食会開催のお知らせ
日時:平成3年9月13日(金曜日)13:00~15:30
場所:道庁赤レンガ3号会議室(札幌市中央区北3条西6丁目)
主催:北海道立水産試験場
参加料:無料
内容:
●講演「エクストルーダーによる食品開発」「カラスガレイの利用」「ウマヅラハギの利用」
●パネル展示
●技術相談
●試作品展示、試食会
エクストルーダー利用による各種製品、カラスガレイ、ウマヅラハギ、キンコ、キュウリウオ、ウロコメガレイ、ナマコ、アカボヤ