水産研究本部

試験研究は今 No.118「青年漁業士大いに語る-釧路町昆布森漁業協同組合小松茂漁業士を訪ねて」(1992年9月18日)

浜のウォッチング~浜の声~ 青年漁業士大いに語る-釧路町昆布森漁業協同組合 小松茂漁業士を訪ねて-

今回の浜ウォッチングは、道東釧路町にある昆布森漁業協同組合の小松青年漁業士を訪ねました。小松漁業士は、小樽水産高校卒業以来漁協青年部活動に取り組み、昭和63年北海道青年漁業士の称号を授与(62年度認定)され、更に平成3年には33歳で釧路町議会議員となり、地域のリーダーとして今後の活躍が期待される今最も輝いている浜の後継者です。

【プロフィール】
昭和33年1月8日生れ(34歳)
昭和51年道立小樽水産高校卒業
昭和61年昆布森漁協青年部部長
昭和63年北海道青年漁業士
平成3年釧路管内漁業士会副会長 釧路町議会議員
現在にいたる。

小松家の漁業の歴史を教えてくれませんか。
 
私は4代目で、1代目は秋田県の米作り農家で北海道に渡ってきて釧路でギンナンソウ、、コンブ、定置網漁業をしていたそうです。私の父親の代からコンブを柱にしてニシン、タコ縄漁業をやり、第6次の切り換えからサケ定置網漁業を共同でやるようになったんです。

漁業を継ぐようになった理由は?
 
昆布森は地名のとおり、根付け資源のコンブが安定しており、サケも取れ経済的な基盤があったことと、長男としての自覚かなあ。5代目をもうけたが、継いでくれるかなあ。(笑)

漁協青年部活動を一生懸命に取り組まれたようですね。
 
青年部活動が活発になったのは、仲間と共に毎月3,000円の積立をして3年後に青年部員18人で韓国の健康食品会社の視察をしたことがきっかけです。積立期間中は、会う度に勉強会を開いて励ましあいました。昭和61年から2期4年間の青年部長時代は、青年部組織の機構改革に取り組み、学習部、生産部、文化部、企画部の4部制として副部長4人体制で、勉強会、生産活動、地域の行事、ボラソティア等多種多様な活動を展開できるようにしました。また、コンブの消費拡大を目指して郵便局とタイアップして「ふるさと小包」で棹前コンブを製品化しました。

漁協青年部活動が低迷している地域が最近多いようですが、昆布森の場合はいかがですか。
 
うちの青年部は、かなり活発に活動していますよ。青年部長の最も重要な仕事は、後継者を育てることですね。うちの青年部の場合、釧路町青年団体連絡協議会に部員を送って異業種交流に努めています。このような活動が発展して港まつりを開催することにつながりました。また、今年は東京の私立高校の修学旅行を誘致することにしたんです。漁家に泊まってもらい、コンブ漁の体験を通じて、地域と特産物のPRをし、将来的には漁業と観光を有機的に結びつけようと考えているんです。こうした取り組みから、青年部員に漁業に対する価値観を高めることができたらよいと思っています。

漁業士活動についてどう考えていますか。
 
漁業士の個々の活動は難しい面もあるが、管内の漁業士会活動を活発にしたいと思っています。行政機関からの情報を浜の漁業者に伝えたい。また、現場の漁業者を集めて、形式にとらわれない、例えば「道東漁業者大会」のようなものを漁業士会主催で実現したいですね。漁業者の悩みを言う場、聴く場が必要だと思う。

浜の漁業振興について考えていることは?
 
資源の有効活用を図ることですね。例えば4等検のコンブを35cmに切って袋詰めするように、各漁家に指導する。それを青年部員が品質を吟味し、「ふるさと小包」として販売するんです。それから価値ある魚、例えばマツカワ等のカレイの資源増大をすすめたい。また、ハタハタのいずし、コンブ、魚等を浜で自由に消費者が買えるようにしたい。

平成3年度の釧路町議会議員にトップ当選されましたが、今後の抱負を聴かせてください。
 
自分が今まで青年部活動を通して考えてきたことを町政の場で実現したかったので立候補したんです。日常活動では、相談事等世話役活動を行っています。現在は産業常任委員として地域の悩みの解決のため1年生ですが勉強の毎日です。今後は一次産業の発展のために尽くしていきたいと思っています。

漁業後継者のリーダーとして今後の御活躍を祈っています。本日はどうもありがとうございました。

【インタビューを終わって】
小松漁業士は、誰にも気軽に声をかけ仲間づくりをし、地域の活性化にむけて先頭にたって取り組んでいる。青年部活動が地域に果たす役割の大きさを実感させられ、久しぶりにホットな気分になりました。

    • 昆布森漁業協同組合の小松青年漁業士