水産研究本部

試験研究は今 No.119「エゾバフンウニの養殖企業化試験について」(1992年10月2日)

エゾバフンウニの養殖企業化試験について

  室蘭地区水産技術普及指導所では、伊達漁協青年部員の協力を得て、昨年の5月からエゾバフンウニの人工種苗を用いて養殖企業化試験を実施しています。

  これは、ウニの養殖が企業として可能かどうかということの検証を行うというもので、部員は本業とのかかわりの中で、管理作業を工夫しつつ頑張っています。

  試験の開始は平成3年5月15日で、伊達市温水養殖センターで生産された平均殻長8.3ミリメートルの人工種苗を用いて実施しました。試験の方法は、図1-1に示すトリカルネット寵(80×80×40センチメートル)10個に各々1,200個つづを入れ、ホタテガイ養殖施設の桁から垂下(海面より13メートル)して行っています。

  給餌は月に1~2回、1籠当り5~10キログラム生コンブを与え、生コンブのない時期には乾燥した雑コンブ(ミミ、葉緑部等)を給餌しています。

  ウニの成長にともない分散しますが、第1回目は平成3年8月5日に飼育籠を図1-2に示すPP製籠(内60×60×33センチメートル)に切り替え、収容数を600個/籠に減らしました。第2回目の分散は11月16日で収容数を200個/籠にして越冬を行い、3回目は平成4年7月10日に収容数150個/籠にし、籠も丈夫で潮通しが良くウニの食害を受けにくい、図1-3に示すベクトラン製籠(80×80×40センチメートル)に切り替えて養殖を行っています。

  今までの成長状況は図2及び表1に示す通りですが、平成4年7月10日現在で平均殻径41ミリメートルとなっており、その殻径40ミリメートル以上の出現率は68パーセントでした。

  また、生残率は管理面の経験不足から37パーセントと低い値でしたが、今後は、さらに管理技術を改善し、成長の促進、生残率の向上をはかるとともに身入り状況と品質について検討し、ホタテガイ養殖と併合した中でのウニ養殖の企業化に向けてぜひ成功させたいと青年部員とともに、懸命に取り組んでいます。 (函館水試室蘭支場 水産業専門技術員)
    • 図1
    • 図2、表2