水産研究本部

試験研究は今 No.120「ヒラメの陸上養殖施設を訪ねて-吉岡漁業協同組合ヒラメセンター-」(1992年10月9日)

浜ウォッチング~浜の声~ヒラメの陸上養殖施設を訪ねて-吉岡漁業協同組合ヒラメセンター-

  今回の浜ウオッチングは、道南福島町の吉岡漁業協同組合ヒラメセンターを訪ねました。お話は、同センターの大澤秀一さんに伺いました。

    • 図1
本センターの特徴について
  本センターの特徴は、青函トンネルから排出される温海水を利用していることです。この温海水は、10トン/分の水量が間けつで湧き出てきており、水温は冬期14~19度、夏期20~23度と冬期間におけるヒラメの成長通水温(15度)に適しており、陸上養殖としては低コストで生産ができます。

施設等の概要について
  本事業は、昭和63年度から日本海漁業振興特別対策事業の適用を受けて、稚魚購入に対する補助及び施設整傭を行いながらヒラメ養殖事業の企業化に取り組んでいます。建物は、日本鉄道建設公団が青函トンネル建設の際に使用していたものを一部改修して使用しています。設置水槽は、建物内に13トン型(27平米)20基、19.5トン型(39平米)12基、屋外に9トン型18基を備えています。従業員は、職員2名と女性パート4名です。

事業内容について
  ヒラメの稚魚については、150ミリメートルが5,000尾、30ミリメートルが2万尾(合計2万5,000尾)を6月に栽培センター、日栽協宮古事業場、佐渡から持ってきております。これらを体重が0.8~1キログラムになるまで飼育して、札幌、函館方面に出荷します。
 
  また、一部の稚魚については、ここで中間育成後に各方面に配布したり、地元・前浜に放流しております。ヒラメを飼っていて気をつけなければならないのは病気で、常に稚魚が病気にかかっていないかどうかをチェックしています。

新しい事業の展開について
  6月に日栽協厚岸事業場からマツカワの稚魚(体長30ミリメートル)1万尾を搬入し飼育しています。飼育は、1日5回音響を用いた給餌方法を採っています。まもなく海中いけすに移されますが、この稚魚を使って飼付け型放流技術開発試験を実施しようとするもので、この事業の概要について簡単に御説明します。
 
  マツカワの稚魚を自動給餌機で1日5回の給餌を行いながら8月上旬まで飼育します。その頃には全長70ミリメートル前後になりますので、標識を付けて海底に放流する予定です。その後も海底で音響を用いた給餌を続け、この場所で成魚になるまで滞留させようとする試験です。

  マツカワの特性として、大変活発な摂餌性があるということから常に餌を与えていれば、その場所から逃げないのではないかとされています。
この飼付け型放流事業としては、本州でマダイ・シマアジ等で行われており、成功例が報告されているところもあります。
マツカワは、高級魚として注目を集めているところから、この事業を是非成功させたいと思っています。
(函館水産試験場)
    • 自動給餌機と飼育中のマツカワの稚魚

トピックス -北海道スケトウダラ研究シンポジウム開催される-

  9月28日~29日の2日間、札幌市のかでる2・7で道水産部主催(事務局:中央水試)による標記シンポジウムが開催されました。各試験研究機関、協賛団体のほか、予想を上回る多くの一般参加をいただきました。2日間で延べ400人近くにもなるなかで、各種講演や研究発表などが行われ、盛会でした。
(中央水試 企画情報室)
    • 北海道スケトウダラ研究シンポジウム開催状況