水産研究本部

試験研究は今 No.126「平成3年生まれのホタテガイ種苗生産とその利用状況について」(1992年11月20日)

平成3年生まれのホタテガイ種苗生産とその利用状況について

  全道の種苗生産の状況や利用状況について7月に各水産技術普及指導所を通じて調査した結果をとりまとめたので、お知らせします。

  全道で増養殖を行っている漁協数は74組合です。そのうち、採苗を行っているのは60組合です。付着稚貝は7~9月に採苗器から採取し、中間育成により種苗として仕立てられます。種苗は翌年の3・4月に耳吊や丸籠で養殖をしたり、漁場放流したりします。放流種苗は、他地区から購入する割合が高く、一部は採苗器に付着した状態で売買された中間育成、また、年内短期問の中間育成種苗(当年貝)、放流時の種苗(越冬貝)で売買しています。

1.付着数

  付着数は、1採苗器当り数百個から万単位で地域差が大きく、年変動も大きい状態です。組合別に、そこの例年付着数と比較すると、全道で不良の組合はなく、良(80パーセント)並(20パーセント)で良好でした。(図-1)
    • 図1

2.中間育成

  中間育成は67組合で行い、生残率は43~95パーセントでした。59組合が80パーセント以上で、おおむね順調でした。

3.種苗生産

  全道の種苗生産数は41.9億個で、前年より3.7億個増加しました。その内訳は、地元産種苗が41.2億個、他地区の採取稚貝(採苗器等)を購入して育てた種苗が0.7億個でした。

  これを支庁別にみると、網走の14.1億個を最高に、渡島9.5億個、留萌7.2億個、胆振6.2億個と続きます。これら4支庁で全体の88パーセント(前年87パーセント)を生産しています。(図-2)
    • 図2,3,4

4.種苗の利用(仕向)状況

  生産地の41.9億個の種苗の仕向内訳は、増殖用に14.0億個(33.4パーセント)、養殖用に12.8億個(30.5パーセント)が使用され、15.1億個(36.0パーセント)は出荷販売用に向けられました。前年に比べると増殖用は0.7億個減少、養殖用は2.1億個増加、販売用は2.3億個増加し種苗供給に重点をおく組合が増加しました。

  更に、販売先では、ほとんどが増殖用に向けられ、最終的には、増殖用に29.1億個(69.5パーセント)、養殖用に12.8億個(30.5パーセント)利用されたことになります。(図-3)

5.種苗の売買

  販売数は15.1億個で、内訳は越冬貝が11.5億個(76.2パーセント)、当年貝が,3.6億個(23.8パーセント)となりました。支庁別では、留萌の6.5億個を最高に、胆振4.4億個、網走1.9億個となっています。

  購入先を支庁別に見ると、宗谷の6.2億個を最高に根室4.4億個、網走3.3億個となっています。昨年に比較して、留萌の販売数と宗谷の購入数が増加しています。(図-4)

6.まとめ

全道的に付着が良好で、種苗生産数が増加し、養殖・地まき数とも増加しました。種苗の需給関係も良好と思われました。
(網走水産試験場 水産業専門技術員)