試験研究は今 No.131「奥尻島と乙部町のスケトウダラは同じ群ですか?」(1993年1月22日)
Q&A? 奥尻島と乙部町のスケトウダラは同じ群ですか? -奥尻島試験研究プラザから-
平成4年11月26日の奥尻島での離島プラザで出された、スケトウダラに関する疑問についてお答えします。
檜山支庁では乙部町を中心に、瀬棚町から江差町にいたる沿岸海域(以下檜山海域)で、古くからスケトウダラを対象に延縄漁業が行われてきました。一方、奥尻島では昨年度から刺し網によるスケトウダラの試験操業が始められました。
図1の上段に檜山海域、中段に奥尻島の漁獲物体長組成を示しました。確かに檜山海域に比べ奥尻島の漁獲物は大きいようです。しかし、檜山海域の漁獲物を奥尻島と同じ目合の刺し網で漁獲したと仮定すると、網目選択性から漁獲物組成は図1下段のように、奥尻島とほぼ同じ組成となり、両海域では同じ群れを漁獲していると考えられます。
檜山支庁では乙部町を中心に、瀬棚町から江差町にいたる沿岸海域(以下檜山海域)で、古くからスケトウダラを対象に延縄漁業が行われてきました。一方、奥尻島では昨年度から刺し網によるスケトウダラの試験操業が始められました。
- 檜山海域に比べ奥尻島のスケトウダラは大きい?
図1の上段に檜山海域、中段に奥尻島の漁獲物体長組成を示しました。確かに檜山海域に比べ奥尻島の漁獲物は大きいようです。しかし、檜山海域の漁獲物を奥尻島と同じ目合の刺し網で漁獲したと仮定すると、網目選択性から漁獲物組成は図1下段のように、奥尻島とほぼ同じ組成となり、両海域では同じ群れを漁獲していると考えられます。
- 奥尻島のスケトウダラは痩せている?
図2に同じ時期に漁獲された檜山海域(○印)と奥尻島(●印)のスケトウダラの体長と体重の関係を比較してみました。両海域の体長体重関係はきれいに重なり、奥尻島の方が痩せているという傾向はみられません。
また、奥尻島では檜山海域に比べ、約330グラム以下の小型のものと、550グラム以上の大型のものがあまり漁獲されていませんが、これは前にも述べたように網目選択性により、小型のものは網抜けし、大型のものは網に刺さりにくかったためと考えられます。
また、奥尻島では檜山海域に比べ、約330グラム以下の小型のものと、550グラム以上の大型のものがあまり漁獲されていませんが、これは前にも述べたように網目選択性により、小型のものは網抜けし、大型のものは網に刺さりにくかったためと考えられます。
- 奥尻島のスケトウダラは腹子(卵巣)の歩留りが悪い?
図3に同じ時期に漁獲された檜山海域、(○印)と奥尻島(●印)のスケトウダラの体長と卵巣重量の関係を比較してみました。奥尻島の測定尾数が少ないので、はっきりとは言えませんが、檜山海域で体長の増加に比例して卵巣重量が増加するのに対して、奥尻島ではその増加が少ないように見受けられます。これも網目選択性が関係していると思われ、大型で卵巣の大きいものは刺さりにくく、小型で卵巣の小さいものは網抜けする結果と考えられます。しかし、40センチメートル以上の大型のものはあまり漁獲対象になっておらず、漁獲の中心である37センチメートル前後では歩留は檜山海域とほぼ同じで、逆に36センチメートル以下の小型の歩留りの悪いものは綱抜けすると考えれば、奥尻島のスケトウダラの歩留りが悪いとは思われません。
檜山海域のスケトウダラは、沖合から奥尻島近海を通過して接岸してくることが魚探反応により確認されています。両海域のスケトウダラが別の群れではないかと疑問視されたのは、上記のように漁法の違いにより、漁獲されたスケトウダラの大きさが異なったことが原因ではないかと考えられました。
(函館水試漁業資源部 夏目雅史)
檜山海域のスケトウダラは、沖合から奥尻島近海を通過して接岸してくることが魚探反応により確認されています。両海域のスケトウダラが別の群れではないかと疑問視されたのは、上記のように漁法の違いにより、漁獲されたスケトウダラの大きさが異なったことが原因ではないかと考えられました。
(函館水試漁業資源部 夏目雅史)