水産研究本部

試験研究は今 No.401「平成11年生まれホタテガイ稚貝付着状況について」(1999年10月22日)

平成11年生まれホタテガイ稚貝付着状況について

  全道各地の今年のホタテガイ採苗器への稚貝付着状況について各地区水産技術普及指導所の協力を得て調査を行いましたのでお知らせいたします。今年は昨年同様46漁協分(支所を含む)の採苗結果の報告がありました。

1.付着状況

  今年の付着状況を例年と比較すると日本海南部が良~不良、津軽海峡が並、渡島太平洋が並~不良、噴火湾は不良、日高太平洋、根室海峡は良、オホーツク海は並、能取湖・サロマ湖は良~並、日本海北部は良となっております。特に噴火湾は3年連続不良でした。

  支庁別では石狩管内は良~並、後志管内は並~不良、渡島管内は並~不良、胆振管内は不良、日高管内、根室管内が良となり、網走管内が良~並、宗谷管内が良~並、留萌管内が良という状況でした。 漁協別では報告のあった46漁協のうち良が16漁協(35パーセント)、並が17漁協(37パーセント)、不良が13漁協(28パーセント)となっており、昨年と比較して良と並の比率が上がり、不良の比率が下がっています。

  図-1、表-1に地区別の採苗器1袋当たり(鹿部、豊浦、虻田、有珠、伊達では棒網を用いているので網地100グラム当たり)の付着数(各地の最終調査日の平均値)を示しました。日本海南部が103~5,168個、津軽海峡は503個、渡島太平洋は3,058~5,084個、噴火湾は205~4,020個、日高太平洋は470~675個、根室海峡では2,758~6,900個、能取湖・サロマ湖は7,276~19,721個、オホーツク南部では1,368~5,000個、オホーツク北部は1,968~3,079個、そして日本海北部では1,403~8,538個という結果でした。平成10年と比較して、日高太平洋、日本海北部が良好で、オホーツク海、噴火湾が変わらない結果となりました。

表-1 平成11年生まれ海域別ホタテガイ稚貝平均付着数
海域 日本海南部 津軽海峡 渡島太平洋 噴火湾 日高太平洋
付着数 103~5,168個 503個 3,058~5,084個 205~4,020個 470~675個
海域 根室海峡 能取・サロマ湖 オホーツク南部 オホーツク北部 日本海北部
付着数 2,758~6,900個 7,276~19,721個 1,368~5,000個 1,968~3,079個 1,403~8,538個
    • 図1

2.採苗器垂下時期

  津軽海峡が5月7日、日本海南部が5月11~16日、日本海北部が5月15~6月5日、オホーツク北部では5月16日~6月10日、オホーツク南部では5月15日~6月7日、能取湖・サロマ湖では6月9日~18日、根室海峡では6月15~16日と順に採苗器が垂下されました。また、渡島太平洋と噴火湾は6月4日~28日に、そして日高太平洋では6月9~16日にかけて垂下されました。今年は日本海、オホーツク北部、能取湖・サロマ湖で昨年より数日程度遅くなり、オホーツク南部、渡島太平洋、噴火湾では例年とほぼ同様の時期でした。

3.ヒトデの付着状況

  ヒトデの付着状況は報告のあった中ではオホーツク南部が平均で3.3個/袋、日本海北部が2.0個/袋とやや多く、根室海峡、噴火湾でも各々1.5個/袋、1.1個/袋と見られ、オホーツク北部、日本海南部では0.3個/袋以下と少ない状況でした。

4.まとめ

  平成11年の稚貝付着数は日本海北部と日高太平洋では良好で、オホーツク海、能取湖・サロマ湖、日本海南部、津軽海峡では例年並でしたが、噴火湾、渡島太平洋では不良でした。採苗器垂下時期は昨年よりやや遅かった地区が多かったようです。ヒトデの付着状況はオホーツク南部や日本海北部でやや多かった程度でした。

  今年は夏季の高水温のため稚貝の分散作業も遅れた地区も多かったですが、今後はその影響が稚貝にどのように及ぼすのか中間育成の状況を注意して見守っていく必要があると思われます。(網走水試主任専技 河野象威)