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中央水産試験場

エゾバフンウニ斑点症

エゾバフンウニ斑点症

斑点症とは

エゾバフンウニの中間育成中、主として夏の高水温期に発生し、発生後2~3日で飼育水槽内のウニが全滅する死亡率が極めて高いウニの病気である。1988年8月に積丹町水産種苗生産センターで初めて発生し、その後道南の知内町などでも発生している。体表の紫色の斑点と棘の脱落が主な症状で、この他管足の異常、口器周辺の表皮異常、管足の付着力低下等が認められる。
    • 発祥部位写真1
    • 発祥部位写真2

原因

斑点症の原因として1988年の時点では患部に見られた長桿菌、鞭毛虫、繊毛虫、アメーバ、発生時の高水温、水質悪化が疑われた。
しかし、その後の調査で、鞭毛虫、繊毛虫、アメーバについては、患部に特異的に見られる訳でないことから否定された。水温に関しては、冷却により斑点症の発生が押さえられることから高水温が関与することは間違いないと考えられた。
また、患部から分離された長桿菌(Tenacibaculum sp.)をウニに感染させることにより斑点症が再現できたことから、この菌が関与している可能性が高くなった。ウニの体表にこの菌が現れてから発症するまでの日数は、1994年は5日、1995年は13日であった。
    • ウニ飼育水温と斑点症発生日グラフ

Tenacibaculum(旧 Flexibacter) sp.とは

性状
  • 長さ4~20μmの細長い菌で、培養すると黄色いコロニーを作る。
  • 15~37℃で発育するが、最も良く発育するのは25~30℃である。10℃では発育しない。
  • 海水中では長期間生存する。
  • 紫外線照射には他の病原菌と同様にかなり弱く、4×104μW・sec/cm2で99.99%が不活化される。

対策

原因菌はテトラサイクリン系、マクロタイド系の薬剤に高い感受性を示し、過酸化水素による殺菌効果や、紫外線、オゾンに対しても他の病原菌と同程度かそれ以上の感受性を示す。また、本原因菌の発育下限温度に近い15~16℃で飼育することにより斑点症の発症を防ぐことができる。

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