内容は、「人工種苗生産・放流と効果調査」、「産卵藻場造成技術開発試験」、「資源管理技術基礎調査」、「北海道・サハリン系ニシンの種苗生産技術開発」の4分野ですが、ここでは「産卵藻場造成技術開発試験」について、中央水産試験場と稚内水産試験場が取り組んできた内容をご紹介します。
ページ内目次
研究目標
- ニシンが来遊する石狩、後志ならびに留萌、宗谷沿岸海域の産卵場所を確認し、着生基質となる大型海藻の種構成・分布および藻場内の産卵環境特性を明らかにする。
- 北海道日本海でニシンの産卵藻場として期待されるホンダワラ類を対象に、藻場造成のための増殖技術の開発を行う。
成果の概要
- 平成10年から16年にかけて、留萌支庁管内の6カ所と宗谷管内稚内市で、ニシン産卵床が確認された。そのうちニシンの産卵・放精により海面が白濁する、いわゆる群来が確認されたのは、平成11年及び13年の留萌市礼受、平成13年の小平町鬼鹿であった。
- 留萌市塩見(留萌港内)では平成10年から平成16年までの7年連続で、留萌市礼受では平成11年から平成16年までの6年連続で、ほぼ同じ場所でニシンの産卵が確認された。
- 付着卵が見られた範囲は海面が白濁した範囲よりも狭く、特に付着卵数が多い所は波打ち際近くの水深1メートル以浅の所で、フシスジモク、スギモク、スガモなどに高密度に付着卵が見られた。
- 平成10年以降、比較的大規模なニシンの産卵が確認された場所での平均産卵密度は、約3万4千~57万1千粒/平方メートル、推定産卵数は約8千5百万~21億6千万粒の範囲にあった。
- 平成10年に小平町臼谷のフシスジモク群落内に設置したコンクリート板に生育したフシスジモクは、平成12年7月には生殖器床を形成し、発芽後2年で成熟することが明らかになった。
- 平成10年に石狩市厚田区嶺泊で産卵床が初めて確認されて以降、平成20年までに石狩支庁管内の5地区、後志支庁管内の3地区でニシン産卵床が確認された。
- 主な産卵基質は、ウガノモクなどの褐藻類、アカバギンナンソウ、ベニスナゴなどの紅藻類ならびにスガモ、アマモといった海産顕花植物であり、その中でもスガモが産卵基質として最も良く利用されていた。
- 石狩市厚田区嶺泊では、平成10年以降、毎年、産卵床が確認されている。
- 平成16年には石狩市厚田区古潭において、平均産卵密度が約129万粒/平方メートル、推定産卵数が約311億粒の大規模な産卵が確認された。
- 平成15年には余市沖(水深10メートル前後)の深所のアマモ群落がニシンの産卵床として利用されているのが確認され、以後、毎年産卵が確認されている。
- 石狩市厚田区嶺泊に設置した産卵藻場試験施設において、平成15年にはハタハタの産卵が、平成16年にはニシンの産卵が確認された。
平成10年から20年にかけて確認されたニシン産卵床
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