法人本部

第10回 3D木材加工機

3D時代の木使い-あなたの脚もクラフトに!-

2011年2月25日(金)
森林研究本部 林産試験場 橋本裕之(はしもと ひろゆき)

こんなお話をしました

   3Dはテレビやゲーム、映画などでブームとなっていますが、木工でも3Dの製品を安価につくりたいというニーズが大きくなっています。道総研では、このようなニーズに応えることを目的として、これまでにない新しい3D加工機を開発しました。

轆轤「ろくろ」・・・、この加工の歴史は古く、平安時代にさかのぼります。木地職人が木こりの後をついて歩き、伐根などから器をつくるなど、林地残材を有効利用しています。これまでの木工轆轤による加工では、対象木材の回転軸に対して直角に削ることから、軸に対して円形の加工物しかできません。

以前、丸のこをコンピュータ制御し、木のたまごを作るろくろ装置の開発を行いましたが、複雑な形状を加工することはできませんでした。その後、青森の村口産業から、3D木工旋盤の開発経緯となった受託研究を受け「傘の取っ手、靴べらみたいな複雑な形を加工する安い機械」の開発を行いました。ここでは、複雑な装置を新たに開発するのではなく、それまでの開発装置の延長として、3D形状データから加工物(木材)のろくろの回転軸と丸のこの出入りを同時に制御するプログラムの開発を行いました。本装置により実際に加工してみると「実に良い!」作品の製作に成功しました。ちなみに、このプログラムは、特許申請しています。

今回のテーマ「あなたの脚もクラフトに!」のとおり、脚の作り方を例に製造過程を示すと、

①脚の正面・側面をカメラで撮影
②輪郭抽出をし、形状を測定・分析(さすがに、脚に直接触れて計測するわけではありません)
③その形状を3D化して、プログラムにデータを入力
④加工の開始

となります。実際に動かしてみると、角材に埋もれていた脚が、そのベールを脱ぐように加工されていく様子がうかがえます。

計測・実験の繰り返しを経て、「3Dターニングマシン」は誕生しました。また、本装置を使った「障がい者・ニートへの仕事づくり」への発展を考え、授産施設等(3施設)でモニター使用していただきました。 その結果、3D―CADを扱える人なら、複雑な形状の製品も簡単、安全に製作できることが確認できました。

この技術が広く普及し、障がい者たちの賃金倍増のための仕事づくりなどに繋がることを願っています。今後、より複雑な3D形状に向けて更なる挑戦をしていきます。

質問にお答えします

質問 回答
会場からの質問

樹種、材質によって、加工の向き不向きはあるのですか

木材であれば、希望どおりの形状に加工できますが、広葉樹の場合には、チップソーの寿命が短いようです。
アクリルの場合には、削れるというよりも溶けるため加工できません。
鉄の場合、チップソーが曲がってしまうので、加工は不可能です。

さらに詳しく知りたい方は・・・

  動画道総研公式チャンネル

資料
林産試だより(2006年3月号)

  案内チラシ

       

 

ご協力いただきました

ドトールコーヒーショップ北海道庁店
(有)澪工房