農業研究本部

肉牛ふん尿の中温乾式メタン発酵特性

湊 啓子

道総研農試集報.101,49-53 (2017)

肉牛ふん尿オガクズ混合物(肉牛ふん尿)の中温(37℃)乾式メタン発酵特性を解明するために,1Lの発酵槽を用いて70日間回分培養を行い,種汚泥(乳牛ふん尿メタン発酵消化液)の添加割合,水分率およびアンモニア態窒素(NH4+-N)濃度がメタン発酵に及ぼす影響を調べた。肉牛ふん尿に種汚泥を1~4割添加した結果,添加割合の増加に伴う発酵促進効果は認められず1割の添加で十分であると推測された。メタンガス発生量は投入原料の水分率の低下およびNH4+-N濃度の増加に伴い各々減少傾向を示し,投入原料の水分率が68%未満,発酵残渣のNH4+-N濃度が4,000mg/kg以上でメタンガス発生の抑制程度は大きくなった。水分54~69%の肉牛ふん尿からは60~92ml/g-VSのメタンガスが発生した。有機物分解率は15~21%,発酵残渣のNH4+-N濃度は1,500~2,500mg/kgであった。


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