農業研究本部

水稲新品種「ゆめぴりか」の育成

尾﨑 洋人,佐藤 毅,沼尾 吉則,吉村 徹,木下 雅文,品田 博史,粕谷 雅志,木内 均,前川 利彦,平山 祐治,佐々木 忠雄,相川 宗嚴,菊池 治己,丹野 久,田中 一生,新橋 登

道総研農試集報.102,1-13 (2018)

「ゆめぴりか(系統名:上育453号)」は1997年に北海道立上川農業試験場(農林水産省水稲育種指定試験地)で交配した「札系96118」(のちの「北海287号」)と「上育427号」(のちの「ほしたろう」)との交雑後代から育成され,2008年2月,北海道の優良品種に認定された。「ゆめぴりか」の出穂期は対照品種の「おぼろづき」と「ほしのゆめ」並の“中生の早”であり,成熟期は両対照品種並からやや遅い“中生の早”である。穂孕み期の障害型耐冷性は両対照品種にわずかに劣る“やや強~強”である。いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pii,Pik”と推定され,葉いもち圃場抵抗性は“やや弱”,穂いもち圃場抵抗性は“やや弱~中”である。玄米収量は両対照品種より多収である。玄米透明度は「おぼろづき」より高く「ほしのゆめ」並である。玄米品質は「おぼろづき」並で「ほしのゆめ」にやや劣る。アミロース含有率は適度に低く,精米蛋白質含有率も「おぼろづき」より低く「ほしのゆめ」並である。そのため食味は,「ほしのゆめ」に明らかに優り,「おぼろづき」並かやや優る。以上のことから,「ゆめぴりか」を「おぼろづき」の全てと「ほしのゆめ」の一部に置き換えて作付けすることにより,極良食味米の安定供給と北海道米の食味向上に寄与できる。


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