農業研究本部

トマトの新発生病害虫トマトウロコタマバエLasioptera sp.の発生生態

齊藤 美樹,馬着 治子,橋本 直樹,斯波 肇,岩崎 暁生

道総研農試集報.103,1-6 (2019)

トマトの茎や果房に褐変や枯死の被害をもたらす新発生害虫ウロコタマバエ属Lasiopteraの一種トマトウロコタマバエに対する防除法を構築する上で重要な情報である発生生態について調査を行った。本種の寄生はトマト側枝において高い頻度で確認されたが(寄生率73%),ナスでも低い頻度ながら寄生が見られた(寄生率6%)。キュウリやピーマンでの寄生は確認されなかった。野外に堆積された残渣内で越冬した本種幼虫は5月下旬~6月上旬に羽化し,羽化直後からトマトへ産卵を開始すると考えられた。吸引式捕虫器を用いた調査によって,成虫は昼間に活動・産卵することが明らかになった。なお,晴天の昼間に切断した側枝では,雨天の同時刻に切断した場合と比較して幼虫寄生頭数が大幅に少なかったことから,切断時の環境条件が産卵数に影響する可能性が示唆された。


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