農業研究本部

玉掛秀人 他:リンドウの胚珠培養法と種間雑種の作出

リンドウの胚珠培養法による種間雑種の作出

玉掛 秀人, 伊藤 盟, 森 正敏

道総研農試集報.98,33-42 (2014)

 リンドウの種間雑種作出のための胚珠培養法を明らかにした。リンドウ個体間で切り花を用いて交配し,3~10日後に肥大子房より胚珠を摘出し,NH4NO3量を1/2とするMS培地で培養することで発芽個体を得ることができた。この胚珠培養法により,エゾリンドウ(Gentiana tirifrora var. japonica)とリンドウ野生種5種(G. paradoxa,G. septemfida,G. dahurica,G. tibeticaおよびG. andrewsii)の交配後,発芽個体が得られた。また,野生種間の3組合せ(G. septemfida×G. tibeticaG. tibetica×G. septemfidaG. tibetica×G. dahuricai)においても発芽個体が得られた。さらに,エゾリンドウ×G. paradoxa種間雑種個体へのエゾリンドウあるいはG. paradoxaの戻し交配において,極めて低率であったが雑種後代個体を得ることができた。得られた発芽個体の雑種性を確認するため,圃場に定植して開花個体を養成し,特性を調査した。開花個体の多くは,花形,花長,がく片長,葉長,葉幅,花色などの形態的特徴において両親の中間的であり,雑種個体と判断できた。また,組合せにより得られた個体の大半が不親和性によると思われる奇形花となる場合が見られた。


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