農業研究本部

堀田 治邦 他:PVY-N系統のモノクローナル抗体とELISA

ジャガイモYウイルスえそ系統に対するモノクローナル抗体作製とELISAによる検出

堀田 治邦,佐々木 純,竹内  徹

道総研農試集報.98,65-75 (2014)

 ジャガイモYウイルスえそ系統(PVY-N)の外被タンパク質(CP)を大腸菌で発現させ,これに対するモノクローナル抗体 (MAb) を作製し,ELISA法への適用を検討した。RT-PCRによって増幅させたCP遺伝子をpMAL-c2X発現ベクターにクローニングし,大腸菌に形質転換後,タンパク質を発現させてPVY-NのCPを得た。これをマウスに免疫し,PVY-Nタバコ罹病葉(以下,罹病葉)を用いて血清の抗体価を測定後,マウスを選定し,ハイブリドーマを作製した。限界希釈して得たクローンについて罹病葉を抗原としたスクリーニングを行い,PVY-Nに広く反応するMAbを得た。MAb D5を用いて直接吸着法(PTA-ELISA),ELISA法の二重抗体サンドイッチ法(DAS-ELISA),三重抗体サンドイッチ法(TAS-ELISA)に用いたところ,いずれのELISAにも適用でき,DAS-ELISAおよびTAS-ELISAでは罹病葉の104希釈,PTA-ELISAでは105希釈まで反応が認められた。また,MAb D5は抗原吸着を37℃で1時間,標識抗体を37℃で1時間反応させる直接法PTA-ELISAにも適用でき,その感度は罹病葉の104希釈までであった。MAb D5株はすべてのPVY-Nウイルス株を検出したが,一部のPVY-Oウイルス株にも反応した。


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