農業研究本部

ダイズ新品種「ハヤヒカリ」の育成について

湯本 節三、田中 義則、黒崎 英樹、山崎 敬之、鈴木 千賀、松川 勲、土屋 武彦、白井 和栄、冨田 謙一、故佐々木 紘一、紙谷 元、伊藤  武、酒井 真次、角田 征仁

北海道立農試集報.78,19-37 (2000)

 「ハヤヒカリ」は,北海道立十勝農業試験場において,耐冷性が強く安定多収で機械収穫向き難裂莢性品種の育成を目標とし,1983年に難裂莢性の褐目系統である「十系679号」を母,耐冷性が強く多収の褐目品種である「キタホマレ」を父として人工交配を行い,以後,系統育種法により育成された。この問,1992年から「十系802号」として生産力検定予備試験および地域適応性検定試験に供試し,1994年からは「十育227号」の地方番号を付して生産力検定試験および奨励品種決定調査に供試するともに,各種の特性検定試験に供試した。その結果,1998年に北海道の奨励品種に採用されるとともに,農林水産省の新品種に認定され,「ハヤヒカリ」として命名登録された。「ハヤヒカリ」は成熟期が「キタムスメ」より約1週間早く,収量は同品種並で,耐冷性が強く,難裂莢性,耐倒伏性にも優れており,コンバイン収穫向き褐目品種である。栽培適地は北海道のなかでも気象条件の厳しい十勝(中央部を除く),網走,上川,留萌地域およびこれに準ずる地帯で,これら地域において「キタムスメ」の大半と「北見白」に置き換えて普及することで,気象条件の厳しい地帯でのダイズ生産の安定化と省力化に貢献することが期待される。


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