農業研究本部

トウモロコシすす紋病圃場抵抗性の自殖系統間差異と遺伝解析

高宮 泰宏、千藤 茂行

北海道立農試集報.78,59-67 (2000)

 十勝農試で育成または導入したトウモロコシ自殖系統を用いて,圃場接種検定により,すす紋病圃場抵抗性の系統間差異と遺伝様式の検討を行った。自殖系統の早晩性と発病程度の間には,統計的に有意な相関関係は見られなかった。発病程度と子実重無接種区対比の間にはr=-0.793**の相関関係が見られた。本病圃場抵抗性には,大きな系統間差異が認められ,北海道在来種由来の北方フリント種に比較的強い系統が多く,「W401」,「To15」,「RB262」,「To45」およびr「To5O」が抵抗性強と判定された。圃場抵抗性の異なる6自殖系統を供試したダイアレル分析の結果,相加効果とともに優性効果が関与していると考えられ,一般および特定組合せ能力はともに1%水準で統計的に有意であった。抵抗性の強い方向が優性で,部分優性であると考えられた。関与する遺伝因子数は2.369と推定され,すす紋病圃場抵抗性には2個以上の因子が関与していると考えられた。遺伝率は高い値であった。


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