農業研究本部

北海道十勝地方におけるインゲンマメ黄化病の被害実態と ダイズわい化ウイルス保毒植物の分布

水越 亨

北海道立農試集報.79,67-72 (2000)

 子実用インゲンマメの主産地である北海道十勝地方において、インゲンマメ黄化病発病株の発生分布を調査した。1986、1987年における全調査地点の平均発病株率は5.5、4.O%で、地域別にみると南部では25~43%と高く、中央部では0~4%と低かった。病原ウイルスである soybean dwarf virus (SDV)のクローバ類における保毒株率を1987、1988年にポリクローナル抗体を用いたELISA法で調査した。1987年に牧草地から採集したラジノクローバの平均保毒株率は、南部および西部から北部にかけては75%前後と高かったが、中央部では37.8%と低かった。これに対し、アカクローバの平均保毒株率は西部では77.2%と高かったが、南部では39.5%と低かった。黄化病発病株の発生分布は、アカクローバよりもラジノクローバにおける保毒株の分布に合致し、黄化病の発生に感染源植物であるシロクローバ保毒株の分布が大きく影響している実態が確認された。このほか、エゾノギシギシおよびアルファルファはSDVに感染しないと判断された。


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