農業研究本部

堆きゅう肥施用がチンゲンサイとダイコンの収量および品質に及ぼす影響

ティパワン シィティランサン、土肥 紘、植野玲一郎、志賀 義彦、中村 隆一、堀田 治邦、鎌田 賢一

北海道立農試集報.80,11-20 (2001)

 堆きゅう肥施用がチンゲンサイとダイコンの収量と品質に及ぼす影響を検討した。試験は窒素地力が比較的高い土壌(可給態窒素4.6mg/100g)を用い,高畦全面マルチ,無化学農薬栽培で行った。チンゲンサイ茎葉重は化学肥料標準区(360.5g/株,100%)>堆肥6t区(95%)>堆肥3t+化学肥料半量区(89%)>堆肥3t区(76%)の順に高かったが,生育は各区とも良好であった。ダイコンの根重は1012~1127g/株の範囲にあり,各区とも化学肥料標準区の90~95%であった。特に堆肥3t区は化学肥料標準区とほぼ同程度であり,減収は少なかった。窒素濃度はチンゲンサイ,ダイコンとも化学肥料標準区が高く,堆肥3t区が最も低かった。チンゲンサイは堆肥3t+化学肥料半量区と堆肥6t区の窒素濃度がほぼ同じであったが,ダイコンは前者のほうが後者よりもやや高かった。窒素供給量の低減により,チンゲンサイとダイコンの根部および茎葉部の硝酸態窒素濃度は低下し,チンゲンサイとダイコン根部の全糖濃度は明らかに高まったが,ビタミンC濃度は窒素供給量の最も少なかった堆肥3t区のみが高かった。このように,収量減を極力抑えた範囲での堆きゅう肥施用や減肥など窒素供給量の低減によって,作物体中の硝酸態窒素を減らし全糖濃度を高めるなど品質改善を図ることができた。


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