農業研究本部

水田転換畑におけるトマトの障害果(チャック果,窓あき果)発生要因とその対策

中村 隆一、大久保 進一、平井 剛

北海道立農試集報.80,31-38 (2001)

 滝川地域の水田転換畑におけるトマトのチャック果および窓あき果の発生には定植後の栽培条件が影響していた。障害果が多い圃場では窒素施肥量や灌水量が多く茎葉の生育が旺盛で,葉のカルシウム/カリウム濃度比が低かった。また,障害果が多かった圃場は地下水位が高く有効土層が浅いことに加え,土壌の石灰苦土比が低く交換性カリウム含量が高かった。さらに生育初期に地温が低く最低・最高地温の格差が大きい特徴があった。これらの要因が複合して果実部のカルシウム濃度を低下させ障害を発生させていた。障害果発生を防止する対策として,①心土破砕などによる下層土の透水性改善と有効土層の確保,②生育状況に応じた少量多回数の灌水および追肥の実施,③土壌の交換性カルシウム,カリウムおよびマグネシウム含量の適正値の維持,④生育初期のこまめな換気と保温や地温上昇抑制型マルチフィルムの利用による適切な温度管理が有効である。


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