農業研究本部

畑地に対する深耕と堆肥施用が土壌特性と作物生育に及ぼす影響

東田 修司、山神 正弘

北海道立農試集報.84,55-64 (2003)

 淡色黒ボク土に対する深さ55cm程度の深耕は耕盤層部分および心土を膨軟化し,その効果は施工4年後にも持続することが認められた。また,作土の有効態リン酸,熱水抽出性窒素,微生物活性は心土の混入によって低下したが、心土部分の肥沃度は高まった。堆肥鋤込みは作土の微生物活性の低下を緩和し,心土の膨軟化程度を大きくしたものの,10t/10a以上の堆肥鋤込みは施工翌年に作物収量の低下をもたらした。この減収は施工2作目以降にはみられなかったが,施工時堆肥20t/10aを鋤込んだ処理では土壌乾燥時のpF値が高めに推移した。深耕は心土における作物根の伸長を促進し,かつ作物根の養分吸収活性を高めた。スイートコーン,バレイショの収量は深耕のみでは向上しなかったが,4~10t/10a程度の堆肥を併用した処理では増収が得られた。これに対し,テンサイの収量,秋まきコムギの生育,収量は深耕単独でも向上した。深耕は作土深拡大や耕盤層破砕の効果がある一方,作土の養肥分が心土の混入で希釈されるので,これを補填するため,4t/10a程度の堆肥施用が有効であった。


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