農業研究本部

インゲンマメ(Phaseolus vulgaris L.)未熟子葉からの効率的な不定芽形成と品種・系統間差異

玉掛 秀人

北海道立農試集報.85,1-12 (2003)

 インゲンマメの未熟子葉からの不定芽形成条件を明らかにした。不定芽の形成には培地へのアブシジン酸(ABA)の添加が極めて有効であった。外植片としては,圃場より採取した未熟莢より摘出した未熟子葉を用いた。高い不定芽形成率は,未熟莢の低温(6℃)処理を6日間以上行い,置床する未熟子葉の大きさを4~6mmとし,0.05mg/l ナフトキシ酢酸(NOA),3mg/l ベンジルアミノプリン(BAP),0.5~2mg/l ABA,30g/l ショ糖および2g/l ゲルライトを含むMS基本培地での培養により得られた。高温年に採取した未熟莢より外植片を調製した時,培地置床後数日で外植片が白化枯死する現象が多発したが,上記の培養条件では白化枯死の発生をほぼ抑制することができた。不定芽から健全植物体の再分化には時間を要した。不定芽から直接健全植物体が得られることはなく,旺盛に増殖する多芽体を経由して,数回の継代の後に,しばしば形成された。未熟子葉からの不定芽形成の品種・系統間差異は大きく,「丹頂金時」,「福虎豆」,「昭和金時」等の不定芽形成率は高く,「十育B22号」,「前川金時」,「紅金時」等では低いか,全く形成されなかった。


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