農業研究本部

北海道産大豆の成分特性および豆腐加工適性の評価

谷藤 健、加藤 淳

北海道立農試集報.86,39-46 (2004)

 北海道内で2001年と2002年に生産された大豆品種および育成系統の成分含有率(タンパク質,脂質,全糖)を分析するとともに,少量豆腐調製法を検討し,豆腐の硬さを評価した。タンパク質含有率の分布は2か年とも同様であったが,脂質および全糖の含有率には年次間で差異が見られ,登熟期間が低温で推移した2002年において,2001年よりも脂質含有率が低く,全糖含有率は高い傾向にあった。豆腐の硬さは,道内品種中では「トヨムスメ」が最も高かった。豆腐の硬さは,タンパク質含有率との間に高い正の相関を認めたが,タンパク質含有率が中程度の試料においては,豆腐の硬さの分布幅が大きく,タンパク質含有率以外の要因の影響も示唆された。また,豆腐の硬さは大豆の水漬増加率,すなわち種子の吸水性との間にも負の相関が認められた。その他,道産銘柄とよまさりを構成する主要3品種(「トヨムスメ」「トヨコマチ」「ユキホマレ」)についてタンパク質含有率と豆腐の硬さの関係を見たところ,これらの関係は異なる 二次回帰曲線で表され,タンパク質の上昇に伴う豆腐の硬さの増加には品種別に上限が存在することが示唆された。3品種間の比較では,この上限が最も高いのは「トヨムスメ」,低いのは「ユキホマレ」とみられ,両品種の豆腐加工適性は明らかに異っていた。


全文(PDF)