農業研究本部

パドックから流出する汚水に対する砂層濾過処理と凝集沈殿処理の適用

大越安吾、高橋圭二

北海道立農試集報.88,69-73 (2005)

 パドックから排出されるふん尿主体の汚水は, 降雨時に発生する非定量・非定濃度型の汚水であることから,活性汚泥法などの生物処理では適切な処理が行なえなかった。本研究では,深層濾過の一種である砂層濾過と,凝集沈殿法を組合わせた手法について処理効果を検討した。砂層濾過では濾過層厚50mmで網目径0.18mmの篩と同等の効果が得られ,目詰まりした濾過層は逆洗と固形分の掻出しを行なうことで繰返し使用が可能であった。砂層濾過した汚水は鉄塩系凝集剤での凝集が可能であり,汚水の濃度と凝集剤必要量には正の相関が認められた。凝集剤要求量は汚水の透視度から算出することが可能であり,凝集沈殿後の処理水はCOD(Mn)で約90%,T-Nで約70%,SS,T-Pではほぼ100%の除去率で,汚水1m3中にふん50kgが溶け込んだ汚水までは排水基準を満たすことが明らかとなった。


全文(PDF)