灌水太陽熱消毒によるメロンえそ斑点病の防除
堀田治邦、真鍋照彦
北海道立農試集報.89,35-42 (2005)
メロンえそ斑点病に対して、灌水太陽熱消毒による防除試験を道央地域で2001年~2004年の夏季に実施した。この灌水太陽熱消毒は、マルチを被覆したままで十分量灌水し、7月下旬~9月下旬にハウスを1~2ヶ月間密閉して行った。2001年は日照時間が多かったことから、実施した8ハウスすべて10%以下の発病率となった。一方、2002年は冷涼・曇天であったため、発病低下は4ハウス中1ハウスのみに留まった。防除効果はハウス内10cm深の地温39℃以上の累積時間と高い相関が認められた。これら地温は2001年の5ハウスでは198~314時間得られていたが、2002年はわずかに7時間であった。地温39℃以上の累積時間が170時間以上確保されれば、発病率5%以下を期待できる。ただし、この消毒法による本病の防除効果は処理後2作までは期待できない。室内モデル試験によれば本ウイルスを媒介するOlpidium bornouanusは湿熱条件の方が乾熱に比べ生存菌数が減少した。また、2003~2004年に太陽熱消毒を実施した圃場試験でもO.bornouanusの菌密度が低下した。したがって、灌水は太陽熱消毒におけるOlpidium菌密度の抑制効果を安定させるものと思われる。
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