農業研究本部

「WILIS」を母本としたダイズわい化病高度抵抗性系統「植系32号」の育成

田澤暁子、神野裕信、手塚光明、三好智明、鴻坂扶美子、田中義則

北海道立農試集報.92,51-60 (2008)

 ダイズわい化病はアブラムシによって媒介されるウイルス病であり,北海道の大豆栽培における最重要病害のひとつである。過去の大規模な抵抗性遺伝資源の探索から見出された圃場抵抗性遺伝資源を母本として,抵抗性品種が育成されてきたが,それらは充分な抵抗性を持つとは言えなかった。私たちは,新たに見出された高度抵抗性遺伝資源「WILIS」を母本とした交配を行い,後代で抵抗性と農業特性による選抜と系統育成を実施して「植系32号」を育成した。同系統は,「WILIS」と同様に,わい化病の激発条件下でも病徴がほとんど認められない高度な抵抗性を持ち,北海道の実用大豆品種に近い熟期と草型をそなえており,わい化病高度抵抗性を持つ実用品種育成のための育種素材としての利用が期待される。


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