農業研究本部

塩基吸着基の差異と石灰の溶出
北海道内の若干の畑土壌について

高尾 欽弥

北海道立農試集報.18,76-85 (1968)

 十勝火山灰土、重粘土、洪積土および沖積土の各土壌における塩基吸着基の種類と 石灰の溶出について室内実験を行なった結果、十勝火山灰土および重粘地表層土は、 沖積土に比してpHの差異による塩基置換容量の変動が大きく、塩基吸着基の大部分は腐植および非品質粘土に由来するものと推定された。そしてこれらの土壌は石灰飽和度の低い段階から有機酸による石灰の溶出割合が高く、かつpHの低下とともに石 灰の溶出割合がいちじるしく増加することが認められた。  したがって十勝火山性土(幕別乾性型、湿性型)、洪積土(藻岩)等塩基吸着基の大部分が腐植および非品質粘土に由来すると推定される土壌は、結晶粘土に由来する 塩基吸着基をもつ土壌(沖積土)に比して自然条件下における石灰等の塩基溶脱がいちじるしいものと推定される。


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