農業研究本部

根釧地方火山灰地における牧草地土壌の理化学的特性と施肥法に関する試験
第3報 永年牧草地の収量と土壌成分との関連

早川 康夫、橋本 久夫、中曽根 茂四郎、 沢田 隆悦

北海道立農試集報.5,1-16 (1960)

 中標津町には永年牧草地と称して10a当りの生草量が500kgに満たない低生産 牧草地が約2,000haもあり、町内全耕地面積の約1/4を占めている。これに合理的な 追肥を実施して生産の向上を図るべく町内53カ所の禾本科牧草地を選び肥料3要素 試験を実施して次のごとき結果を得た。 

1.開墾後穀菽作物を多年にわたり栽培しこの間に燐酸肥料を十分に施用した畑を牧 草地に転換したような場合は、燐酸肥料は少々控えてもよいから先ず加里を追肥 して加里欠乏を抑えておき、その上で十分に窒素肥料を施すと効果が大きい。
2.開墾後燐酸肥料を十分に施すことなく、直ちに牧草地とした場合は、古い牧草地 であっても新墾地牧草と同様に燐酸の肥効が顕著であった。
3.牧草地土壌を分折してその対策を判定する資料をえようとする場合、窒素につい ては確実な方法がみつからず加水分解性窒素がやや参考になる程度であったが、 燐酸では2N HCl可溶性燐酸と易分解性有機燐量が、また加里ではN/5HCl可溶のものがそれぞれ収量と直接関連が高く、これを知ることによって土壌の天然供給量をある程度まで確実に推定しうるようであった。


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