水稲形質の遺伝力、親子相関および個体と系統値の重みづけに関する試験
柴田 和博
北海道立農試集報.5,58-61 (1960)
1.水稲糯品種の組合せ「上野1号×ユキモチ」を材料としF1~F4を用いて親子相関、遺伝力およびF3個体とF3系統平均値のF4系統値に対する関係について若千の考察を行なった。
2.稈長、穂長、穂数、穂重、全重および出穂期の6形質を調査した。F2からF4 までの2世代間に有意な関係のあったのは稈長、穂長、穂数および出穂期で、稈長が最も高く、次いで穂数であった。穂重および全重では既に報告されている結 果と同様に全く関係が認められなかった。
3.各形質のF4系統値に対するF3個体とF3系統値の偏回帰係数(b1とb2)は b2の方が各形質ともやや大きかった。しかし、標準偏回帰係数ではb2'の値が b1'よりも小さい場合もあった。また稈長と穂数ではb1、b2とも有意であっ たが、穂長ではb2のみが有意となり、その他の形質では両方とも有意とならなかった。
4.本実験で、一般に低いとされている穂数の遺伝力や親子相関が高かったのは組合せの特徴かも知れない。
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