農業研究本部

根釧地方火山灰地における牧草地土壌の理化学的特性とその施肥法に関する試験
第4報 採草用牧草チモシーの刈り取り回数と追肥について

早川 康夫、橋本 久夫

北海道立農試集報.6,93-105 (1960)

 根釧地方における牧草施肥法の一環として採草用チモシーの追肥と刈り取り回数に 関する試験を行なった。その結果、 

1.播種後第2年目の採草用チモシーに対する窒素、燐酸、加里の追肥のうち窒素の 効果が最も顕著で加里がこれについでいたことは、第2報に述べた傾向と同様で あったが、このうち春季追肥した窒素は1番草にその大部分が吸収されてしまう ので、2番草に対しては改めて追肥する必要を認めた。
2.根釧地方は9月になると低温短日のため生育が遅延するので、遅くとも9月上旬 までに2、3番草の生育を完了させるようにしなければならない。このためには 1番草の刈り取り時期を早める必要がおきる。乾草収量は開花盛期に最大値に達 するけれども、蛋白生産量の増加は穂孕期以降では僅少なので早期刈り取りはむしろ合理的であり、これによって2番草以下の増収も確保される。
3.しかも貯蔵器官として発達する鱗茎は穂孕期から出穂期にかけて最も充実するの であって、開花盛期よりも再生力が大きいものと推察される。
4.穂孕期までに要する生育期間は約1.5カ月であって、これ以上短縮すると残効量 が増加し肥料利用度が低下するが、根釧地方で牧草の生育が最もおう盛なのは6 ~8月の3カ月間であり、従って採草用チモシーの刈り取り回数は年2回が適当 と思われる。またその時期は乾草調整のための気候的条件もあわせて考慮すれば6月下旬と9月下旬とするのが良いと思われる。


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