農業研究本部

根釧地方泥炭の理化学的特徴と開発に伴う土壌肥料学的諸問題について
第2報 根釧パイロットファーム内泥炭地の草地造成に際する肥培法

早川 康夫、奥村 純一

北海道立農試集報.7,35-46 (1961)

 パイロットファーム内泥炭地の開発に伴ない、その草地造成化に際する肥培管理上 の2~3の問題点について検討したところ、次のような結果をえた。すなわち 

1.床丹地区の泥炭には摩周統火山灰が多量に混入しており泥炭としての物理性は保 持されているが、火山灰と類以の化学性を示した。
2.床丹地区の泥炭は燐酸吸収力がきわめて強かった。この原因は挾在する火山灰層 から溶出したR2O3が泥炭層に集積し、これが直接または腐植と結合して燐酸 を固定したためと考えられる。
3.現地における肥料3要素試験の結果からも、燐酸が最大の制限因子であり、かつ この欠乏によって牧草が枯死するほど激しいもので、施肥法については十分慎重 に実施する必要があった。
4.以上のほかに、床丹第2地区泥炭の乾燥による発芽障害もしばしば認められた。 これは泥炭の容水量が異常に高く、ミズゴケ泥炭では500%以下になると忽ち 発芽率が低下することによる。


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