場長室より(風景とひとこと)
道総研上川農業試験場のサイトにお越しいただき、誠にありがとうございます。
このページ「場長室」では、上川農業試験場の近況や作業風景、催しもののお知らせ、お知らせすることがないときは場長のたわいないひとりごとを記載いたします。お目汚しの写真とつたない文章ではありますが、もしお時間が許しましたら、ときどきこのページにもお付き合いいただけますと幸いです。
2025.8.7 農試の見え方
昨日(令和7年8月6日)の公開デーには、たくさんの方にご来場をいただき、誠にありがとうございました。
私がご案内させていただいたわずかな範囲での印象となること失礼いたします。地域のみなさまが親しみや関心、新しい技術への期待を抱いていただいていること、温かい声をたくさんいただきました。そういった支えのうえで、この仕事に取り組ませてもらえているのだということを、改めて強く実感しております。
また、この場で書くには手前味噌の感があり恐縮ですが、諸先輩方が積み重ねてきた取り組みの大きさを思うとともに、通常の試験研究業務とは異なる対応にも丁寧に取り組んできたスタッフを誇らしく思います。
そして、このような機会を通じながら、地域の方々、広くは道民のみなさまから、われわれ試験場はどのように見えているのだろう、ということを改めて考えています。
20数年前のこと。全国連携試験の会議が上川農試で行われた際、親交のあった他県の研究者から、
「こんな良い場所で仕事ができるなんて、うらやましい!」
と言われたことがあります。
当時は、そんなものかなと深くは受け止めていませんでした。
とにかく自分の担当試験のこと、作物の栽培管理のこと、今日明日の仕事の段取りのことしか頭にありませんでした。試験ほ場に出ていても、斜め45度から下の方ばかり向いていました。それは、担当者として決して悪い姿勢ではなかったと思います、ただ、ほかの視点はなかなか持てなかったということなのでしょう。
いま、「こんな良い場所」を、しみじみ実感しています。



ああ、こんなに良い場所で仕事をしているのだなと。
同じ場所にいるのに、まったく違う見方をしていることに、われながら少し驚いています。
違う見え方といえば、学生時代に読んだ『精神と物質』(利根川進・立花隆)のなかにあった内容がずっと心に残っています。
競争する二つの研究グループが、それぞれ同じ時期に同様の実験結果を得た、というドキドキするような展開がありました。一方の研究グループは、もともと持っていた自分たちの仮説にあてはまるようデータを解釈したのに対し、もう一方はデータと合わない仮説の方を柔軟に変えていき、その結果後者のグループが重要な研究成果に先にたどり着いた、という内容だったと思います(ちゃんと読み返していないので少し違うかもしれません、間違っていたらごめんなさい)。「仮説」は「見え方」と読み替えてよいと思います。
ものごとの見え方はひとつではない、ということを、試験研究を担う立場としても改めてかみしめています。
なんの話でしたっけ。
なにはともあれ、上川農試は良いところです。
比布駅構内の案内板にも記載がありました。

「名所」だったの!? (※「北海道立~」は「北海道立総合研究機構~」に改編する前の表記です)
そういう見え方もあったのか。

改めまして、公開デーにご協力・ご出展いただいた関係のみなさま、ご来場いただいたみなさまに、心より感謝申し上げます。
今後も、地域に必要としていただく試験場でありつづけられるよう、務めてまいります。
※たいへん恐縮ではありますが、当場では、視察研修や公開デーを除いて、一般の方の立ち入りをお断りしています。なにとぞご容赦ください。視察研修は事前受付のみの対応としております、詳しくはこちらのページをご覧ください。

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